第4話 君は僕で僕は君(4)


銀河:オーディションに?


うるは:うん!受かってた!


銀河:す、すごいね!やったじゃん!


うるは:やったよー!よかったー!


うるは:嬉しいことの後のお団子は美味しいー!


銀河:喉に詰まらせないでね?


銀河:(うるはは有名な舞台のオーディションに合格した)


銀河:(主役ではなくて主役の妹役らしいけど、すごく重要な役を任されたみたいだ)


銀河:(本当に心から嬉しいと思う反面、何故か心の中にしこりのような鈍い傷が出来ていた)




銀河:今日はうるはが出演する舞台の公演日


銀河:なんだかんだでうるはの舞台を見るのは初めてだ


銀河:初めて会った頃のうるはの演技は今でも鮮明に覚えてる


銀河:うるはのあの姿は輝いていたんだ


銀河:きっと今はそれ以上に輝いているはずだ


0:舞台が始まる


銀河:(うるはの出番はまだかな?)


銀河:(あ、あれかな?)




うるは:あら?お兄様、目覚めましたか?気持ちよさそうに寝てましたね


うるは:昨晩は何かされてたんでしょうか?……ふふっ


うるは:うっふふふふ!!冗談ですよ!そんな怖い顔しないでください


うるは:でも、この状況については冗談ではないですよ?ごめんなさい。暴れられると困るので手足は動かないようにしてあげました


うるは:これからは一緒にご飯を食べて、一緒にテレビを見て、一緒に寝るだけですから。手足は動かないんで私が体を拭いてあげます


うるは:今夜とは言わず。何度も熱い夜を過ごしましょうね?んふっ


銀河:(初めて会った頃のうるはもこんな感じのキャラだったなー。もしかしてサイコパスがハマり役なのか?)


銀河:(……でも、なんでだろう。闇に堕ちてるはずなのにやっぱりうるはは輝いていた)




0:舞台が終わる


銀河:本当に控え室に入っていいのかな?


うるは:君は僕で


銀河:……っ!僕は君…


銀河:びっくりしたよ


うるは:ごめんね、こんな所に呼び出しちゃって


銀河:ううん、うるはの演技すごくよかったよ!なんか色々とすごかった


うるは:本当に!?よかったー!


銀河:ここって関係者以外入っちゃダメなんじゃないの?


うるは:銀河君は私の関係者でしょ?


銀河:……また悪気もなくそんなことを


うるは:これ終わったら打ち上げがあるんだけど銀河君も来る?


銀河:僕も?それこそ関係者以外来ちゃダメなんじゃ?


うるは:私の関係者なんだからいいの。それに多分お酒も飲まないといけないからさ


銀河:そうだね、じゃあ行こうかな?




0:二人は打ち上げに参加する


銀河:(なんだか気まずいなー。でも物語の話とかちょっと聞けて悪くない気もする)


うるは:あ、あー!そうですよね!あはは!


銀河:(うるはもちょっと無理してそうだ)


うるは:あ、はーい!今行きますね!


うるは:ごめん、監督に呼ばれたから行くね?


銀河:うん


銀河:(隣に居たうるはが居なくなる)


銀河:(それは胸にぽっかりと穴が空くような感覚だった)


うるは:今日もすごく楽しく演じれてよかったです!


うるは:またお願いします!


うるは:え?お話ですか?




0:打ち上げが終わり二人は一緒に帰る


銀河:うるはー?大丈夫?


うるは:ん〜大丈夫ー


銀河:うるはお酒飲めないのに無理しないでよ


うるは:無理なんかしてないよ〜?


うるは:銀河君、私が隣に居なくて寂しかったの?


銀河:また君はそんなこと聞く


うるは:寂しかったの?


銀河:………寂しかった


うるは:……そっか。可愛いところあるね


銀河:からかわないでよ


うるは:私が居ないと銀河君寂しいよね


銀河:どうして?


うるは:さっき監督に呼ばれてね、色々と話したんだ


銀河:何を?


うるは:東京に出てみないかって


銀河:………


うるは:………


うるは:お互い沈黙するよね


銀河:そりゃそうなるよ


うるは:私もどうしたらいいかわからなくてさ


うるは:一応まだ大学に通ってるし、大学卒業してからでもいいかなーって思ったんだけど、早いに越したことはないって言われてね


うるは:大学も辞めるか悩んでるの


銀河:……それは僕も悩むね


うるは:そうだよね


銀河:今はゆっくり考えてさ、また今度話そうよ


うるは:うん。すぐには答えは出せないって言ってあるからそうしよう


:5話に続く

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