第2話 君は僕で僕は君(2)


うるは:……え?えぇーー!!


銀河:ち、違います!そういう意味じゃなくて!


うるは:あああうううおおおえええいいいー!!


銀河:落ち着いてください!


うるは:ピーー!!


銀河:あぁ、ダメだ、完全に壊れてる


銀河:僕が言ってるのはあなたの演技が好きってことです


うるは:……え?


銀河:すごく、素敵な演技でした


うるは:……ありがとうございます


銀河:こちらこそありがとうございます!


うるは:お名前は?


銀河:…僕は銀河


うるは:銀河さん。素敵な小説を書かれる方ですね。私はラッキーです


銀河:どうして?


うるは:あなたの小説が売れる前にあなたの小説に出会えたから


うるは:私もあなたの小説、好きですよ。売れるようになっても読み続けます


銀河:ありがとう!


銀河:君の名前は?


うるは:私はうるは


銀河:うるはさん。僕も君の活躍が楽しみだよ


うるは:物語が好きならこれあげます!


銀河:これは?


うるは:舞台のチケットです。私は出てないですけど


銀河:そんな、悪いよ


うるは:大丈夫です!私ももう一枚持ってますから!


銀河:そ、そう?じゃあ


うるは:またどこかで会いましょうね


銀河:うん、またね




銀河:今日の舞台の場所ってこの辺だったよな?


銀河:にしてもまたどこかで会いましょうねって、同じ舞台のチケット持ってたらまた会うことになるような……


銀河:そこまで計算してるとは思えないけど


うるは:あ、あれ?……どうして銀河さんがここに!?


銀河:だよね。そうなると思ってたよ


銀河:同じ舞台のチケット渡されたらまた会うに決まってるでしょ


うるは:つ、つまり、同じ舞台のチケット渡したからまた会ったんですね…!


銀河:全く同じこと言ってるよ


銀河:しかも多分席も隣だよね?


うるは:ああ〜〜!本当だ!またご迷惑を〜!なんとお詫びをしたら……


うるは:もう!舞台中ずっとごめんなさいって泣き叫びます!


銀河:生き地獄みたいな真似はしないで貰えるかな!?


銀河:いいんじゃない?隣で見てても


うるは:いいんですか?


銀河:うん


うるは:銀河さんが後悔しないならそれでも…


銀河:後悔なんてするわけないよ


うるは:本当ですか!?じゃあ行きましょ!




銀河:………


うるは:ほら!あのセリフの抑揚がたまらないんですよー!


銀河:う、うん


うるは:あの女の人は可愛い声なのにかっこよく演技してるー!凄くないですか!?


銀河:あ、ああ、すごい


うるは:わあー!苦しむ演技リアルー!絞められたい…


銀河:ちょっと後悔してる自分がいる…


うるは:なんか言いました?


銀河:何も!


うるは:私もいつか……ここに立ちたいなー


銀河:……


銀河:(彼女の目はキラキラしていた)


銀河:(こんな一面の彼女を見て後悔なんてするはずがない)


銀河:(何故か心が弾んでいるのは舞台を見ているからなのだろうか?)


銀河:(それは自分じゃわからないし、あえてわからないフリをする)



0:二人は喫茶店に入る


うるは:はあー楽しかったですね


銀河:うん、僕もいい刺激になったよ


銀河:うるはさん今は大学通いながら稽古(けいこ)してるの?


うるは:そうです


銀河:事務所にも入ってるの?


うるは:入ってますよ


銀河:すごいね


うるは:すごくないですよ。東京の大手事務所ならまだしも地方の事務所ですからね。女の子なら誰でも入れるみたいだし


銀河:そうなの?


うるは:そうです。そこからオーディション勝ち取れる人なんて1割も居ないです


うるは:私も全然だめだめですよ


銀河:厳しい世界なんだね


うるは:でも、夢は諦めたくないです。女優になる夢だけは…


銀河:……


うるは:銀河さんは?小説活動どうなんですか?


銀河:僕もダメだよ。小説サイトで投稿しても全く見られない


うるは:そうなんですね…


うるは:私たちって似てますか?


銀河:似てる?


うるは:はい!お互い上手くいかないことが多いけどお互いの好きなものをお互いが好きだなんて似たもの同士ですよ


銀河:傷の舐め合いって言うんじゃないかな?


うるは:傷なんて舐め合った方がいいに決まってます!


銀河:……え?


うるは:お互い気にしてることを慰め合った方が痛みは半分になるんですよ


銀河:……そうだね


うるは:でも、今日みたいに同じ舞台を見た時の楽しさとか、幸せな時間は2人で分けても2倍になるんです!これすごくないですか?


銀河:………


うるは:人のマイナスを半分に出来て、人のプラスを2倍に出来る


うるは:人との心の繋がりって素敵なことなんですよ


銀河:……君は感受性が豊かだね


うるは:そうですかね?


銀河:うん、君以上に素敵な人は見たことないよ


うるは:そ、そんな!


銀河:どこか抜けてて、臆病で、でも自分の夢に真っ直ぐで、それでいて発する言葉も筋がある


銀河:そんな君と一緒に居ると前向きになれる気がする


うるは:………


銀河:……好きです


うるは:……え?


3話に続く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る