【声劇台本】君は僕で僕は君【サシ劇】

ゆる男

第1話 君は僕で僕は君(1)


銀河:あの照りつける夏の日に僕は誓った


うるは:気温が高い夏の空の下で私は誓った


銀河:この繋がりは永遠に続くと思った


うるは:いつまでも一緒に居られると思った


銀河:僕達はいつも考え方が同じだった


うるは:私達は思いが通じあっていた


銀河:だから、二人の合言葉を使うようにした


うるは:特別だから合言葉を使うようにした


銀河:君は僕で


うるは:僕は君




銀河:……


銀河:セミの音うるさいな。集中出来ないや


銀河:何も思い浮かばない。やっぱりスランプなのかなー?


銀河:こんな公園じゃ刺激なんて得られないし、どっか行くかなー?


銀河:せめて、キャラクターの参考になる面白そうな人でも居ればいいんだけど


銀河:……ん?


うるは:おどおど、おどおど


うるは:キョロ!キョロ!


うるは:……ブルブルブル!


銀河:ん?


うるは:すぅーはあーすぅーはあー


うるは:あめんぼ赤いなあいうえお!


うるは:うきにも、こえびが、泳いでる!


銀河:え?


うるは:柿の木、栗の木、かきくけこ!


うるは:きつつき、こつこつ、枯れけやき!


銀河:なんだ?


うるは:ふぅー。セミの音うるさいなー


うるは:……っ!


銀河:え、こっちに気づいた


うるは:あ、あ、あ、あの、い、い、い、いつから!?


銀河:ずっと居ましたよ?


うるは:ええぇー!!


銀河:いや、キョロキョロしてたじゃん……


うるは:ごめんなさいごめんなさい!迷惑でしたよね?


うるは:あーもう!ジャングルジムから飛び降ります!


銀河:ちょ!やめて!見てただけだから!


うるは:わ、私が汚いものを見せてしまったんです!やらせてください!


銀河:冒頭から激しすぎですよ!落ち着いてください!


うるは:落ち着いてられないですー!もう飛び降りて死にますー!


銀河:ジャングルジムから飛び降りても死なないよ!


うるは:え?そうなんですか?


銀河:その高さじゃ捻挫にもならないよ


うるは:そ、そんな〜!


うるは:そ、そうだ……この前の台本を試そう


うるは:・・・・・・




銀河:え?


うるは:うふっ、私が死ねないなら誰を殺したらいいと思う?


銀河:お、おい、何を


うるは:これなーんだ?


銀河:……それは、スマホの充電器?


うるは:ただの充電器じゃないよー?これ、断線しにくいライトニングケーブルっていうの


うるは:これで人の首は絞められるんだよ?


銀河:何を…するつもりだ


うるは:ふふっ


銀河:やめろ……


うるは:あっははははは!!


銀河:うわあああああーー!!!


うるは:きゃああああ!!!




銀河:え?


うるは:急に大きな声出さないでください!ビックリするじゃないですか!


銀河:……は?


うるは:あービックリしたー心臓止まるかと思いました


銀河:いやいやこっちのセリフですよ。急になんですか?


うるは:あ、ごめんなさい!前に受けたオーディションの台本の役を演じただけなんです


銀河:台本の役?


うるは:はい!私、演技するのが好きで……


うるは:なんで私の演技見るんですか!!


銀河:見せてきたのそっちでしょ!


銀河:(変な人だな…)


銀河:(にしてもさっきの演技凄かったな)


銀河:(まるで本当に殺人を犯す人のようだった)


銀河:(いい刺激になるかもしれない)


銀河:あの


うるは:はい?


銀河:僕、小説書いてるんです。なので…


銀河:僕の書いた小説の役を演じてもらえないですか?


うるは:……えぇ!?


銀河:む、無理なら大丈夫です!


銀河:おこがましいですよね。見ず知らずの人が書いた小説の役なんて。ごめんなさい


うるは:……わ、私でよかったら!


銀河:……ほ、本当に?


うるは:はい


銀河:あ、ありがとうございます!


うるは:と、とんでもないです!セリフとか役の設定を教えて貰えれば


銀河:はい!心臓病の女の子の設定なんですけど、病気持ちでも明るくてポジティブなんです


うるは:…素敵ですね


銀河:……あ、ありがとう


うるは:じゃあ、メガネ外してもいいですか?


銀河:どうして?


うるは:私、目が悪いんです。


銀河:それならメガネかけてた方がいいんじゃ


うるは:いえ、視界がぼやけてた方が私には都合がいいんです。人が目の前に居ると緊張しちゃって


銀河:そうなんだ


うるは:はい、じゃあ読みますね


0:うるははメガネを外す


銀河:………っ




うるは:・・・・・・


うるは:私は何回も死にそうになったことあるよ。その度に思うの


うるは:生きててよかった。私が生きてるのはみんなのおかげ。みんなありがとうって


銀河:(メガネを外した彼女の表情がよく見える)


銀河:(その表情は固くなく、軽快で、煌(きら)びやかで)


銀河:(麗(うるわ)しいくらい、彼女の全身が輝いて見えた)


銀河:………


うるは:どうでした?


銀河:……好きです


うるは:……え?


銀河:……あ


2話に続く

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