第6話 いざクエストへ

 俺は先ほど絡んできた男たちに一通り街を案内させた後、男たちを解放し武器や防具が購入できるという場所に来ていた。


流石に何の装備もしてない状態では、俺自身のステータスが低すぎてモンスターに全くダメージを与えられていなかった。それにさっきみたいにまた俺が弱そうだからって絡んでくる奴とか現れかねないからな……


俺はとりあえずこの店で購入できる中で一番高くて性能の良さそうな防具を購入した。1200コインだったが、今日のところは宿代だけでも残ればいいか。またコインが必要になればいつでもあの小型のワニ共を狩って金策すればいいわけだし。


俺とペットたちの昼食に使った代金と今、防具を購入した分で3000コインあったのが1500コインにまで減っていた。


後は武器だな。魔法系やガンナー用の武器とかもあるのか。色んな種類があるけど、玄人向けの武器は俺には使いこなせなさそうだな。ここはオーソドックスな大剣にしとくか。武器の決め方が適当だが、俺自身が戦わずとも俺のペットが強すぎるためあまり深く考えずに決めてしまった。まあ、それを抜きにしても初心者のうちは王道の武器を使いこなせるようになってから他の武器にも手を出すべきという俺のセオリーもあった。


この大剣が1200コインだったため、残りは300コインか。あれほど多くのバーガーを購入した時の価格が安かったのを見るに宿代には事足りるだろう。


俺は早速、購入した武器や防具を装備してみることにした。

ずっしりと来る重み、俺には少し重すぎる気もしたがここは我慢だ。こういう防具って恐らく軽いのはその代わりに防御力が低くなるとかいうパターンだろう。俺のステータスが低すぎるため、一撃で倒されてしまうという事態を避けたい俺としては重さくらいは我慢するべきだと感じていた。


というのも、もし倒された場合どうなるのか俺にはまだ分かっていなかったからだ。ゲームとかだと最初に来た街からやり直しとかできるが、ここは異世界、何があっても不思議ではない。最悪、倒されたらそのまま死亡という事態もあり得る。なるべく防御力は惜しみなく上げておくべきだろう。


俺は装備をした後、ステータスを確認した。


『ステータス』


攻撃力2→23


防御力1→31


魔法攻撃力3


魔法防御力2→32


素早さ2


なんかめっちゃ上がってる!装備つええ!!


この矢印の前が装備前のステータスで矢印の後が変更後のステータスを示してるってことか。


俺のステータスが一気に見違えた。

高い買い物をしただけあってかなり収穫がでかいな。この店で一番高い防具を着ただけのことはある。


今日はもう疲れた。腹も膨れて装備も購入したことだし宿に泊まって眠りたい。

俺は先ほど男たちに案内させた際に見つけた宿に泊まり眠った。50コインで。


俺は目が覚めると早々に身支度を整えて、街へと繰り出した。ペットを連れて歩くと目立つので宿の外で待たせておいた。


俺が外に出た理由はこの街で男たちに絡まれた場所にあったあの店の中にギルドのような場所があったことを思い出したからだ。


この世界のことをまだ少ししか知らない俺は積極的に情報を得ていきたかった。そのためには、ギルドで他の人間と交流するのが手っ取り早いと思った。


相変わらず、物騒な連中がうろついてるな……。恐らくこの街で一番賑わっている場所にあるであろう店だが、来ている連中はハンターだとか戦士だとかとにかく自分に自信のありそうな奴らばかりだ。俺は一度、ここでカツアゲされかけたからな。かなり警戒して前を通ったが今度は絡まれたりすることもなくすんなりと通れた。


そうか……。今の俺は奴らからみてもそれなりに強そうに見えるってことか。全身に装備を着こんでいたため絡まれることもなくすんなりと店の中へと入れた。


ギルドは確かこの辺りにあったはず。店の中は巨大な集合施設になっており素材を買い取ってくれる所など様々な場所があったがその一番奥、やけに人が集まっている所にギルドがあった。


「どいつもこいつもすっげえ強そうだな……」


俺は見た目こそ装備を着たことで奴らに溶け込んではいるが、この世界のことをまだ何も知らない初心者だ。完全に俺はここの雰囲気に委縮していた。


俺は恐れつつも、それを感じさせないように気を張って受付へと向かった。


「こんにちは、どのクエストを受注されますか?ここに一覧がございますので、決まり次第教えてください」


黙ってうなずくと俺はクエストの一覧を見てみた。上からS級~E級まで幅広い難易度のクエストがあった。クエストか……。できればパーティー向けのクエストを組んで、他の人間と交流をしていって情報を集めたいな。

なるべく簡単な奴で……。あまり難しいのだと殺伐とした空気になりそうで嫌なんだよな…。


しかし、当然簡単なパーティー向けのクエストなど見つからず、複数人向けのクエストだけあって高難易度のものが多く推奨ステータスも高いものばかりだった。


俺が意気消沈していると、突然隣の見目麗しい金髪碧眼の女性が声をかけてきた。


「あの……もし良かったらこのパーティークエスト一緒に行ってくれませんか?」


クエストを見たところB級の中難易度討伐クエスト……。とても初心者の俺がこなせるような代物ではなさそうだ……。


「すみません……迷惑ですよね。こんなお願い。皆さんお強そうなので声がかけづらくて……」


確かに周りの人間は皆、毅然としており自身のない俺からしたら強キャラのオーラをまとっているように見える。対して俺は装備こそ整えて形だけは強そうに見せているものの、まだ気を張っていても奴らのような威圧感を出すことはできなかった。だから、そういう俺に声がかけやすかったってことか。


一緒にクエストに行ってあげたいのはやまやまだが、はたして俺にできるのか?足手まといになってしまったら最悪だよな……。しかし困っている人間を放置することはできない。


どうするべきなんだ……









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