困ったな

 僕は最悪な事態を引いてしまったらしい。男に告白されてしまった。でも放置出来ないのはコイツが弱いからだ。放置すれば他のやつに壊される。こんなに良いやつが壊されるのは僕が嫌だ。


ーー困ったな。僕が恋をしそうなくらい真っ直ぐな人間だ。


「名前なんていうの?」

「誠司」

「俺は瑠奈だ」


 僕は誠実であれとつけられた名前。コイツは親の自己満足でつけられたっぽい感じがした。


ーーやっぱり家庭の問題か。


 家庭の問題が一番ややこしいし、一番面倒だ。僕に恋をした時点で嫌な予感がした。ストーカーにはならないが、僕の苦手なタイプなのは間違いない。助けてやりたい気持ちで溢れて涙が出そうだった。


「何か困ることがあれば言えよ」

「僕は一人が好きだから何も困らないし、自己解決能力高いから問題ないよ」

「俺は救われたからお前を助けたい」

「要らないよ、僕は気紛れでしただけだから」


ーー本当にただの気紛れ。コイツがほっとけなかっただけで、好かれてしまった。でも不思議と後悔はしてないんだ。

 僕は一人の時間が脅かされそうで怖かった。何も要らないんだ。僕には自分さえいれば怖くない。一人で戦える強さがあるんだ。

 逆に一人でないと戦えない。荷物を背負ったままでは戦えないんだ。


「一緒に行動しても良いか?」

「嫌だと言ってもついてくるんだろう」

「本気で嫌がるならついていけない」

「勝手にしろよというか、僕の側にいた方が安全なのは確かだから側にいろよ」

「ありがとう。お前が居なければ俺は自殺していたよ」

「…………」


ーーやはりそこまで思い悩んでいたか。


 助けたことに後悔はしてないけど、厄介な捨て猫を拾った気分だ。

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