　俺にはアイツの言う事が理解できなかった。抵抗に何の意味があるんだ？

　俺はアイツの事が知りたくなった。今日も俺は両親に怒鳴られる。

ーーまた寝不足の日が続きそうだ。

　母親はストレスから俺の体をねだる。父親はそれを見ながら怒鳴り続けた。俺は今日も抵抗をしないんだ。

ーー抵抗したらエスカレートする場合か。今の状況なのは分かる。だけど、学校も同じに思えた。

　寝不足な頭を無理矢理起こして学校へ向かう。アイツは早めに寝るやつらしい。

　まぁ夜は忙しくて返しづらいからちょうど良いから気にしないんだ。スマホをいじっても怒られないし、ただ腰を振り続けるだけ。

　俺でなくとも良い気がする。誰だって腰を振るなら良いはずだ。たまたま俺が従順なだけ。

「気持ち良いわ、流石私の息子」

　母親からはまともな言葉が返ってくることも、常識を教わる事もない。

　アイツ以外まともなやつに出会った事は無かった。

　俺の家庭環境を知っていくと馬鹿にして殴る蹴るをして、ストレスのはけ口にしてくる。

ーー抵抗しない癖が問題なのか？

　俺は自分を変えるチャンスを手に入れるためにアイツと会話がしたかった。だから早めに家を出る。

「おはよう、昨日の続きなんだけど」

「しつこいよ、僕は放置して欲しいんだ。勉強の時間だって必要だし」

「俺はお前に惚れたから付き合えよ」

「脈絡が無さすぎてついていけないよ」

「そのままの意味だ」

「僕は男にも女にも興味がない」

「それなら俺が一方的に言い寄るだけだ」

　俺はコイツが気に入った。恋に落ちたと分かるんだ。俺の足りない部分を補ってくれるコイツが好きになった。

ーー自分勝手な恋だった。

「迷惑なんだけど」

「自分勝手な事は分かっているんだが止める事が出来ないんだ」

「勝手にしろよ。付き合う気はないけど困ったら話くらいは聞いてやるよ」

「ありがとう、今はそれで充分だ」

　コイツは冷たいのに人が良かった。優しいやつが好きなんだとこの時初めて理解する。恋とは無縁な人生だと思っていたからだ。

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