第20話 生徒会長の説明回

とりあえず島の中心にある警察署に行って来た。


昨日のウメハラの腕切断や鉄骨が落ちた事で呼ばれ事情説明をした。監視カメラにバッチリ写ってたね。


この島には中心に空港や警察署、病院などの施設があり国ごとのエリアを管理している管理塔が在る。


事情聴取を受け開放後、オルベル学園に呼ばれた。


学園に着いてから職員室に呼ばれる。話を終わると次は生徒会室に呼ばれた。生徒会室は高等部の校舎にある為、緊張する。


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ノックをして返事を待つ。


「どうぞ」


「失礼します」


生徒会室に入ると話し合い用の椅子に座るよう言われる。


生徒会室は全体的に木材の家具が多くモダンなデザインであり、前世の校長室のイメージに近いと思った。


「まずは選抜戦の時の非礼を詫びよう。済まなかった」


「サリアから聞いてます。俺達の為だったって。こちらこそサリアの家に告げ口してすいませんでした」


俺は善意に対して悪意を返してしまった事に罪悪感を覚え謝罪した。


「な、ナハハハ…」


生徒会長は苦笑いをする。


「あれは焦ったよ…」


思ったより効いていたらしい。罪悪感が増してくる。


生徒会長はゴ、ゴホンと空気を変える。


「君を呼んだのは昨日ウメハラという生徒に襲われた事についてだよ」


生徒会長は以前会った時と雰囲気が違い言葉遣いが厳かで年上の貫禄を感じる。


「君には何で君が襲われたかを教えておこう。理由は"龍鎖 チェインカルナ"を持っていると思われていたからだ」


生徒会長は理由を話してくれるらしい。玄野が本当の事を言っているのか確かめるか。


「"龍鎖 チェインカルナ"はただのカードではないんだよ。結論から言うと"龍鎖 チェインカルナ"は契約の証なんだ。この契約の話は世界の歴史を説明しなきゃいけないから話が長くなるけどいい?」


「大丈夫です」


話を聞いていると生徒会の役員がコーヒーを淹れてくれる。俺と生徒会長は礼を言いながら受け取る。俺が砂糖とミルクを入れまくるのを見て生徒会長は引きながら話を続ける。


「そ、それで契約っていうのは、今から30年前、突如として異世界との扉が開いたんだ。当時それが何なのか分からず調査の為に無人機を飛ばした。そこに映っていたものは異世界だった。人やエルフ、獣人といった人種の生物、そしてモンスターと呼ばれる異形の生物。仕組みの分からない謎のエネルギー。当時の人間はエネルギー問題や領土問題で異世界を手に入れようとした。そんな事をすれば異世界側も黙っていない。そして戦争が起きた。戦争は最初私達の世界が有利だったんだ。文明のレベルが圧倒的に上だからね。しかし、異世界側は人種以外の種族が同盟を結び争いは互角になった。しかし、そこにある一人の人種が現れた。それが勇者だ。勇者は圧倒的個の強さを持っていた。瞬く間に勇者は劣勢を押し返した。しかし、焦った私達の世界側は科学者達にあの魔法の様な物を無効化する装置を作るように依頼された。そしてある科学者が一つの装置を作った。できあがってしまったものが収集機コレクターと言われる機械だ。収集機コレクターは謎のエネルギーを持つ全ての物質をカードに変えていった。何でカードになったのかは今でも謎だ。それからは一方的だった。敵を全部カードしてしまえばいいんだから。しかし、勇者は引かなかった。勇者は他の種族の王達に呼びかけ戦った。そしてまた互角の戦いが始まった。ジリジリとお互いが疲弊し、これ以上は犠牲が多過ぎると世界同士が契約を結んだ。その契約がカード化を定期的にさせる代わり、私達の世界は勝手に異世界側の人々をカード化しないという契約だ。しかし、その契約は人間同士のもの、別種族は当て嵌まらなかった。そこで他の種族のモンスター達はこちらの世界が勝手に異世界で国同士の戦争を始めたのを見て種族と国で契約を結んだ。そして私達の国は龍種と契約を交わしその証として王の証である鎖のカードを受け取った。それが"龍 チェインカルナ"だよ」


話すのに疲れたのか息切れしながら生徒会長はコーヒーを飲む。


玄野が言っていた事の確認をしようと思ったらまさか歴史を教えて貰う事になるとは思わなかった。


玄野との契約については内緒にして欲しいと言われた為、俺は初めて聞いたというていを取らなければいけない。


こいつ改めて思ったけどめちゃくちゃ怪しいな。


「それで何で君の父親が"龍鎖 チェインカルナ"を持っていたのかな?君が持っていたのはサリアから父親の形見とは聞いていたけど…」


「俺も知らないんです」


「そうかー。でもこれでまた龍種との契約を結び直せる」


生徒会長は物知りだなー。


「生徒会長は物知りですね」


「君はサリアの友達だ、だからヘレンで良いよ」


「じゃあ、ヘレン先輩で」


「うん。でも異世界の歴史は高校になったら習うから、それと実家の本の知識だよ」


「なるほど、サリアの従姉妹なら実家は軍の関係者だからですか」


「そゆこと。で、君が狙われてる理由は分かった?」


「はい。カルナを探していて見つかったからいっかって話ですよね?」


「うん。全然分かってない事が分かったよ」


「まぁ大切な契約書を持ってたから狙われたと思ってくれて良いよ」


玄野の言っていた事は正しいらしい。少しは信用して良いのかな?


「それで、これから君はどうするのかな?君はウメハラに勝った。だから君が"龍鎖 チェインカルナ"を持ってると思ってる。またカンザキは君を狙ってくるよ」


「うーん、昨日試合を見に行けなかったからサリアが怒ってるんですよ。だから今日はこれから試合を観に行きます」


「なら私も一緒に観に行くよ。護衛を兼ねてね」


ヘレン先輩はそう言ってウインクをした。


「あ、そういえばウメハラと戦った後ウメハラの腕が鎖に引き千切られたんですけど…あれは何だったんです?」


「ああ、あれはチェイナーっていう機械だよ。無理矢理賭けチェインをさせて負けたら相手の鎖をつけた部分と同じ自分の体を引き千切る。勝って相手が賭けた物を支払わなかった時、鎖をつけた部分を引き千切る。相手につけた場所が腕なら腕を、足なら足を」


ヘレン先輩は首を指差す。


「首なら首を引き千切る。今、異世界で戦争してる軍人が使ってる武器だよ」


へ?俺めちゃくちゃ危なかったのでは?


「だから君危なかったんだよ?」


賭けさせられたカルナを俺は持ってなかったからあの時負けていたら俺が左腕を引き千切られていた。


まぁ勝ったからいっか!


「危なかったですねー」


「君は危機感が無いね」

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