第8話 速攻龍

俺達はチャラい系の男3人組に喧嘩を売られた為、カードショップに行き、チェインで決着をつけることになった。


「リアン・ミーサーク」


「アジル・ラオギー」


お互いソウルモンスターゾーンにカードを置く。


「「チェイン バトル‼︎」」


機械が判定し俺が後攻になった。


アジルは1ターン目ドローとコネクトをして終了。


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リアン2ターン目


「ドロー」

「コネクトフェイズ」

「メインフェイズ」

「コネクト1で"地を這う竜"をチェイン」

「アタックフェイズ"地を這う竜"でソウルアタック」


地面から大きいトカゲが出てくると相手のソウルモンスターに攻撃した。


"地を這う竜"の結合力(c)は10。


なので、アジルのライフは190になる。


「ターエンド」


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アジルは出せるカードが無かったのか2ターン目もドローとコネクトのみをして終了。


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リアン2ターン目


「ドロー」

「コネクトフェイズ」

「メインフェイズ」

「コネクト2で"コーネドラゴン"をチェイン」

「アタックフェイズ"コーネドラゴン"でソウルアタック」

「続けて"地を這う竜"でソウルアタック」


"地を這う竜"の結合力(c)は10。そして、"コーネドラゴン"の結合力は(c)は20。


よって30のダメージでアジルのライフは160となった。


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「くそっ!」


アジルは3ターン目になってもモンスターを出せずターンを終了した。


「雑魚は雑魚らしく雑魚カードしか持ってねぇーのかー?」


「…」


リアンが煽りを無視する事にケッと鼻で笑うアジル。


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リアン3ターン目


ここまで対戦して分かった事がある。アジルがモンスターを出さないのは恐らくデッキのカード全てがコネクト4以上のカードで構築されているか、入っていても少数である可能性が高いと思った。


アジルのコネクトゾーンを確認したが全てコネクト4以上のモンスターであった。


これはもしかしたら、ストーリーカードすら入っていないんじゃないか?


俺は相手のデッキが強いモンスター詰め込みデッキだと予想をつけ戦うことにした。


「ドロー」

「コネクトフェイズ、イベントカードをセット」

「メインフェイズ」

「コネクト3で"ゾルティコア"をチェイン」


俺は一つ目のドロドロとしたドラゴンをチェイン(召喚)した。


これで俺の新デッキのギミックを発動させる条件が揃った。


「ソウルモンスター"龍遺跡の巫女"のスキル発動、龍への崇拝」

「自分のフィールドに龍種のコネクト3以下のモンスターが3体以上の時発動できる。自分のコネクト3以下のモンスターはこのカードがフィールドにいる間、結合力を20上げる」

「アタックフェイズ」


俺は3体のモンスターでソウルアタックをした。


俺の全てのモンスターが"龍遺跡の巫女"のスキルにより結合力(c)が20上がっている為、"ゾルティコア"の結合力(c)は50、コーネドラゴンの結合力(c)は40、"地を這う竜"の結合力(c)は30となっていた。


合計で120のダメージを与え、アジルのライフは40となった。


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アジル4ターン目


「俺のターン!!」


アジルは焦っていた。


雑魚だと思っていたやつにここまで追い込まれプライドが傷つけられたのだ。


(こんな奴に!)


「ドロー!」

「コネクトフェイズ」

「メインフェイズ」

「よくも今まで調子に乗って攻撃してくれたな?」

「だが、こっからは俺の番だ」


アジルはニヤニヤしながらモンスターをチェイン(召喚)する。


「コネクト4で"疾風ゼイリード"をチェイン!」

「"疾風ゼイリード"のチェイン時スキル発動、疾風加速」

「デッキから1枚ドロー」

「更に、"IGアイジーベーレ"と"スフェイラ山の赤竜"をチェイン!」

「アタックフェイズ、"スフェイラ山の赤竜"で"ゾルティコア"を攻撃」

「"スフェイラ山の赤竜"の攻撃時スキル発動、赤熱化」

「赤熱化により"スフェイラ山の赤竜"の結合力(c)を10上げる」

「更にソウルモンスター、"繋がれた龍像"のスキル、龍気を発動」

「"スフェイラ山の赤竜"の結合力(c)を更に10上げる」


このタイミングを待ってた!


「ストーリーカード(イベント)発動、龍の息吹ドラゴンブレス


ストーリーカード(イベント)はコネクトゾーンにセットしてから発動する事でコネクトを消費せずに発動できる。しかし、セットしている間はコネクトを行えない。


「相手のモンスターが攻撃した時、相手の最後にチェイン(召喚)されたモンスターを破壊する。」


突如として空から巨大な龍の顔が現れ、炎のブレスで"スフェイラ山の赤竜"を攻撃した。


しかし、"スフェイラ山の赤竜"も赤熱化している為、炎の耐性が上がっている。炎で殺せるのかと思っていたら熱量が違ったらしい。圧倒的な熱量の差で一瞬にして"スフェイラ山の赤竜"は炭化し、破壊された。


ストーリーカード(イベント)は発動後コネクトゾーンに表側にして置く。


「チッ」

「"IGベーレ"でゾルティコアに攻撃」


"繋がれた龍像"のスキル、龍気が発動し"IGベーレ"の結合力(c)が50になり、"ゾルティコア"に攻撃した。


"IGベーレ"の白く長い尾が"ゾルティコア"のドロドロとした体に襲いかかるが"ゾルティコア"はそれを避け尾に噛み付いた。"IGベーレ"は"ゾルティコア"ごと尾を地面に叩きつける。だんだん"ゾルティコア"が弱っていき"IGベーレ"が止めを刺そうとしたところで"ゾルティコア"が最後の力を振り絞り"IGベーレ"の首に噛み付いた。"IGベーレ"は暴れ回ったが段々と動かなくなった。


"ゾルティコア"も噛み付いたまま死に2体とも破壊された。


「"IGベーレ"が破壊された時スキル発動、IG」

「コネクト4以下の龍種のモンスター1枚を手札に加える」


アジルはデッキを確認し、カードを1枚手札に加えた。


「"疾風ゼイリード"で"地を這う竜"を攻撃」


"疾風ゼイリード"は爪に風を纏わせる。


巨大なかまいたちとなった爪で"地を這う竜"を背中から突き刺した。 


"繋がれた龍像"のスキル、龍気が発動し"疾風ゼイリード"の結合力(c)は50。対して"地を這う竜"の結合力(c)は"龍遺跡の巫女"のスキルで30になっている。


20の戦闘ダメージを受け俺の残りライフは180。


「次のターンで潰してやる!そこで怯えてろ!」


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リアン4ターン目


アジルのデッキは恐らく、コネクトが4以上のモンスターカードのみで構築されている。


このゲームの性質上コネクトが大きいモンスターだけをたくさん入れるのは強い。


スキルを持つモンスターのほとんどがコネクト4以上だし、ストーリーカードを入れなければコネクトを消費しない。


だが今回にかぎりそれは愚策だ。


俺のデッキと相性が悪過ぎる。


俺が使っているデッキタイプは速攻に分類されるものである。


速攻とは相手より先に盤面を展開し、相手の準備が整う前に倒し切るというコンセプトのデッキの事だ。


アジルのデッキには小型の壁となるモンスターも妨害するストーリーカードもメタカードも入っていない。


残念だがここまでだ。


「ドロー」

「コネクトフェイズ」

「メインフェイズ」

「コネクト0で"龍遺跡の巫女"をチェイン」

「さらに、コネクト3で"リブライン"をチェイン」


"リプライン"は蛇の様に体をくねらせる。


「アタックフェイズ、"リブライン"で"疾風ゼイリード"を攻撃」


"リブライン"の結合力(c)は"龍遺跡の巫女"2体のスキルで120になっている。


久しぶりに速攻デッキを使ったけど火力高くて驚いた。


鱗がトゲトゲしているドラゴンが体当たりで"疾風ゼイリード"に突っ込んだ。


"疾風ゼイリード"に鱗が大量に刺さり破壊された。


戦闘ダメージを80与え、アジルのライフは0になった。


winnerリアン・ミーサーク


「馬鹿な!この俺がこんな雑魚に負ける訳がない!」


こいつらまだ元気そうだな。


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この後アジルを3回ボコボコにした。


ついでに取り巻き2人もボコった。


もう1回やろうと思ったがアジル達は悲鳴を上げて帰ってしまった。


俺はたくさんチェインができて満足していた。


「速攻デッキ楽しー!」


「あんた、私がボコる分残しておきなさいよ」


「いや〜楽しくなっちゃって」


サリアは俺がチェインをした後アジル達をボコりたかったらしい。俺がやり過ぎて逃してしまった事を怒っている。


考え方がヤンキーだ。


「今回は龍鎖 チェインカルナというカードは使わなかったのでしょうか?」 


シズネが俺のキーカードについて聞いてきた。


「今回は速攻デッキでコネクト4以上のモンスターを入れてないからカルナも入ってないよ」


「気になっていたのですが何故"龍鎖 チェインカルナ"を1枚しか入れてないのですか?」


「それは…」


「ちょっとシズネ、それ以上は…」 


サリアがシズネを話を聞くのを止めようとするが


「いやいいよ。デッキにカルナが1枚しか入っていない理由は、父親の形見だからだよ」


父親は研究者をしていてその研究の過程で手に入れたカードを俺にくれた。


しかし、父はある日戦場に呼ばれそのまま行方不明になってしまった。


なのでこの歳まで1人で俺を育ててくれた母親には感謝している。


「そうだったのですか…申し訳ありません不躾な質問をしてしまって」


「気にしてないし大丈夫だよ」


サリアは父親に会った事があるので知っている。


暗い雰囲気になってしまったので昔の思い出を話しながら学園の寮に帰宅した。

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