第10話 名前②
店内を歩き回り、乙葉へのプレゼントを探した。
イニシャル入りのキーホルダーにしようかなとも思ったが、なんだか修学旅行のお土産みたいでやめた。ハウステンボス限定のお菓子もあったが、食べてしまったら形として残らないしとこれまた却下。
どうしようかなと悩みながら歩き進めて行くと、かわいらしいマグカップを発見した。
(うん、これにしよう!)
と、僕はマグカップが割れないように、大事に胸に抱きかかえレジの方へと並んだ。
僕の前には、ベビーカーを押した女性が並んでいた。
さすがハウステンボス。
人が多すぎて中々前に進まない。僕は自分の順番が来るのを待っている間、さっき乙葉と携帯で撮った写真を見返していた。僕のホッペに、キスをしている乙葉の写真が僕の一番のお気に入りだ。
「いやぁあああああ」
前に並んでいた赤ちゃんが突然グズりだした。
赤ちゃんも暇すぎて飽き飽きしているに違いない、可哀想に。
母親らしき女性も、必死で赤ちゃんを泣きやまそうとしている。
「ほら、寧々ちゃんの好きなおもちゃよ。」
そういって、鈴のおもちゃを鳴らした。
鈴の音を聞いた途端、さっきまであんなに泣いていた赤ちゃんが声を出して笑っている。
(鈴の音色と赤ちゃんの笑い声。なんて癒されるんだろう)
そして僕は思いついた。
(そうだ!赤ちゃんがもし女の子だったら “鈴” にしよう!)
そうピンときた僕は、すぐに携帯にメモっていた。
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