第11話 名前③
長いレジから解放された僕は、乙葉と合流した。
乙葉は、僕に見えないようにプレゼントを両手で背中の後ろに隠しながら歩いている。
「ホテルに戻ったら交換しようね」
僕は乙葉の無邪気な笑顔が大好きだ。今までも何度もこの笑顔に救われてきた。
テストで悪い点を取って落ち込んでる時も、部活でうまくいかない時も、
いつも隣でニコニコ笑ってくれていた。
もう少ししたら、この笑顔を側で感じれなくなるのかと思うと凄く寂しくなった。
部屋に到着し、僕は今すぐにでも乙葉に覆いかぶさりたかったが、
「たっくん、先にお風呂入ってきていいよ」と乙葉に言われ、僕は素直にお風呂へ直行した。この後は、夕飯を食べて、プレゼント交換をして、乙葉を抱くという流れになるだろうと思い、入念に体を洗った。
僕と交代で今度は乙葉がお風呂へ。上機嫌なのか鼻歌を歌っている。
この前、高校を卒業したばかりの僕達はそこまでお金がないので、ハウステンボス付近の綺麗なホテルではなく、少し離れにある格安ビジネスホテルにした。いつも、デートの時はラブホテルで過ごすのが定番だが、今日ばかりは特別に、少しグレードアップした場所にしたのだ。
ホテルに帰る道中に、コンビニでパスタとパン、そしていつもは買わない300円ぐらいするスイーツを2つ買った。
テーブルに食べ物を並べ、乙葉が出てくるのを待った。
少しして、ガチャっとお風呂場から乙葉が出てきた。
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