第231話 それぞれの成長
Side:天霧 英人
俺は大地や未来ちゃん達、味方陣営が集まっている場所を目指して地上へと降りていく。
そこには大地、キンちゃん、未来ちゃん、タオさん、リュウキ、ユミレアさん。
この面々が一箇所に集まっていた。
全員空を見上げたまま固まっている。
俺の「ソウルハック」が彼らにも効いているからなんだけど……この規模感で敵味方を区別して使うとなると、正直細かい操作にまだ慣れないんだ。
その内使いこなせるように練習するから、今は我慢してほしい。
みんなの顔がはっきりと見える所まで降りると、シルフィーナさんがユミレアさんがいることに気づいた様だ。
「っ ! ? ユミィ!」
ソラの背中から勢い良く飛び出し、ユミレアさんへと走り寄る。
俺はその隙にソウルハックを、この場の味方だけ解除していく。
「シル……フィーナ様?」
思いもよらぬ再会に驚くユミレアさんに、シルフィーナさんは勢い良く抱きついた。
「ユミィ! 無事だったか!」
「あぁ……シルフィーナ様」
エルフの二人が再会を喜んでいる間に俺がソラの背から降りると、タオさんが全速力で突っ込んでくる。
「ダァ〜リ〜ン!!!」
――ドスン!
タオさんの全力タックルは難なく受け止めた。
「うぇ〜ん! 会いだがっだ〜」
「心配かけました」
タオさんに続いて、他のみんなが俺の方に来た。
「英人さん。おかえりなさい!」
「んもう。こんなに待たせて! 待ちくたびれちゃったわよん!」
「心配かけさせやがって……」
未来ちゃんとキンちゃんは嬉しそうに笑い、大地はそう一言だけ言って拳を突き出す。
「ああ」
それ以上は言わず、俺は大地の拳に軽く自分の拳を当てた。
「主人〜せっかくこれから俺達が反撃しようってとこだったのによぉ。タイミング悪いぜ? 美味しいとこだけ持ってくなよな」
リュウキがそう小言を言ってくるが、タオさんと同じくらい強い喜びの感情が伝わってくる。
「ああ……すまないリュウキ」
気付けば俺は、リュウキにそう言っていた。
タイミングが悪い事に謝ったんじゃない。
さっきクランハウスで、俺はネメアとの戦いで誰が死んだのかを聞いている。
潤さん、そして綾さんと剛さん、それから財前会長。
他にも名前の知らない死者は大勢いる。
そして俺たち『龍の絆」の仲間達も大勢死んだ。
その中には、リュウガの名前もあった。
龍気をよく見れば、リュウキの魂を守る様に、別の魂の残滓がリュウキの魂を覆っている。
これはリュウガの魂だ。
死して尚、姉を守り続けている。
これはおそらくだが、「ソウルレガシー」と言う現象だろう。
さっきシルフに聞いた情報の中と、イヴァ様の魂が教えてくれる情報にそれがあった。
この世に強い未練を残したりとか、強い意志を持ちながらもその命が先に尽きる時に起こる。
魂が輪廻の輪に戻る事を拒否し、魂を構成する全ソウルを燃やして現世に何かを残す。
その残したものが、「ソウルレガシー」と呼ばれる。
それはソウルスキル並みの能力を持った力であったり、強力な武器だったりと、場合によってソウルレガシーの形は様々だ。
それがリュウガの場合は力だった様だ。
どんな状態異常も完全遮断するソウルのバリアが、リュウキに付与されている。
おそらくこのバリアは、リュウガが残したソウルが無くなったら消えるはずだ。
まあ何にせよ、リュウガは二度と帰っては来ない。
「何に謝ってんだか知らねえけどよ……主人は悪くねえよ」
そう言ってリュウキは無理やり笑った。
そんな風にみんなとの再会を果たした俺は、みんなから感じる魔力の波動が強くなっているのを感じていた。
そしてステータスを確認した俺は、彼らの成長ぶりに感心を通り越して驚いていた。
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名前:弥愁 未来
ジョブ:勇者
Lv 100
HP:18000/18000(11000+1000+6000)(初期110)
MP :8700/16500(10000+1000+5500)(初期100)
筋力:59000 → 11000+(1000+6000)+41000=(初期値110×Lv)+(強化系スキル補正)+(龍装)
耐久:32000 → 7000+(1000+4000)+20000(初期値70)
器用:13500 → 8000+(1000+4500)(初期値80)
敏捷:27500 → 10000+(1000+5500)+11000(初期値100)
知力:27500 → 10000+(1000+5500)(初期値100)
スキル(略)
ジョブスキル
・聖剣召喚・聖王剣術
ユニークスキル
・未来視
エクストラスキル
・龍剣術:Lv10・龍闘術:Lv10
龍装
・エーテル・ガントレット:Lv100(筋力+41000)
・龍翼の燐鎧:Lv100(耐久+20000)
・韋駄天のグリーヴ:Lv100(敏捷+11000)
技能
・真雪嶋流抜刀術(中伝)
・魔操術(初伝)
・武神流格闘術(初伝)
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名前:村雨 大地
ジョブ:魔術師
Lv 100
HP:11490/12000(7000+1000+4000)(初期70)
MP:14000/15000(9000+1000+5000)(初期90)
龍気:28900/30000
筋力:48500 (4000+1000+2500+41000) (初期値40)
耐久:27500 (4000+1000+2500+20000)(初期値30)
器用:6000 (3000+1000+2000) (初期値30)
敏捷:17000 (3000+1000+2000+11000) (初期値30)
知力:15000 (9000+1000+5000) (初期値90)
スキル(略)
エクストラスキル
・龍槍術:Lv10・龍闘術:Lv10
龍装
・エーテル・ガントレット:Lv100(筋力+41000)
・龍翼の燐鎧:Lv100(耐久+20000)
・韋駄天のグリーヴ:Lv100(敏捷+11000)
技能
・真村雨流十槍術(中伝)
・魔操術(中伝)
・武神流格闘術(中伝)
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名前:我道 金太郎
ジョブ:魔術師
Lv 100
HP:8990/10500(6000+1000+3500)(初期60)
MP :8700/15000(9000+1000+5000)(初期90)
龍気:24800/30000
筋力 :50000 (5000+1000+3000+41000) (初期値50)
耐久 :28000 (5000+1000+3000+20000) (初期値50)
器用 :6000 (3000+1000+2000) (初期値30)
敏捷 :17000 (3000+1000+2000+11000)(初期値30)
知力 :15000 (9000+1000+5000) (初期値90)
ユニークスキル
・極知極体
エクストラスキル
・龍魔法:Lv10・龍闘術:Lv10
龍装
・エーテル・ガントレット:Lv100(筋力値+41000)
・龍翼の燐鎧:Lv100(耐久+20000)
・韋駄天のグリーヴ:Lv100(敏捷+11000)
技能
・魔操術(中伝)
・武神流格闘術(初伝)
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ふむ……みんな相当レベリング頑張ったんだなぁ。
吸血鬼との戦いの中でもレベルアップしているはずだから当然なんだけど、俺が見ていたのは龍装や未来ちゃんのレベルだ。
吸血鬼との戦いの前までは、龍装のレベルまでは上げ切っていなかったはず。
それなのに全員が装備している龍装のレベルは最大だし、俺が箱庭から呼び出したドラゴニュート達や、ドラゴニュートが装備している龍装も、全てがレベル最大になっている。
まあ軍隊編成で経験値が分配されているからおかしな事でもないんだが、こうして改めて見ると、みんなの努力の成果が出ている。
未来ちゃんに関しては、「勇者」になっているし。
おそらく勇者に覚醒したのも最近のはずなのに、既にレベルは最大だ。
それからキンちゃんにはソウルスキルが発現している。
まあ色々聞いて検証したいこともあるが、ここは戦場だ。
今は戦いに集中するとしよう。
ちなみにだが、通常スキルは全員が同じものだった。
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スキル
・武術系
剣術Lv10、弓術Lv10、槍術Lv10、斧術Lv10、短剣術Lv10、盾術Lv10、魔闘術Lv10、投擲術Lv10
・魔法系
火魔法Lv10、水魔法Lv10、風魔法Lv10、地魔法Lv10、光魔法Lv10、闇魔法Lv10、回復魔法Lv10
・強化系
HP増強Lv10、MP増強Lv10、筋力増強Lv10、耐久増強Lv10、器用増強Lv10、敏捷増強Lv10、知力増強Lv10
・耐性系
上級火耐性Lv5、上級水耐性Lv5、上級風耐性Lv5、上級地耐性Lv5、上級光耐性Lv6、上級闇耐性Lv6、猛毒免疫Lv5、麻痺免疫Lv6
・特殊系
気配察知Lv10、気配隠蔽Lv10、魔力察知Lv10、魔力隠蔽Lv10、危険察知Lv10、再生Lv10、魔呼吸Lv10、神速思考Lv10、
暗視Lv10、千里眼Lv10、言語理解Lv1
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リュートに譲渡していた「ビルドシステム」の権限を使って、全員に覚えさせたんだろう。
インベントリの魔石を見ても、全員にスキルを与えるのは難しくない量の魔石が入っていたしな。
これだけみんなが強くなっている事に、俺は素直に嬉しかった。
さて、そろそろ敵軍の指揮官と交渉しなければな。
「大地、敵軍の指揮官はどの人?」
「指揮官? 中国軍は多分『弓聖』だと思うが……奴はここら一帯を転移で飛び回っているから、俺たちには場所が特定できない。それからアメリカ軍は……状況がよくわからん。とりあえず賢者オルトス・フィリデンは敵対していない」
なるほど……ここには中国軍とアメリカ軍がいるのか。
クランハウスで聞いた情報では中国軍だけだったはずだが……まあいい、とりあえず賢者と弓聖に交渉しよう。
「ソラ。龍装してくれ」
「グォアア!」
ソラを龍装し、翼を展開して上空に飛び上がろうとするが──
タオさんが俺にしがみついたままだ。
「タオさん? ちょっといいですか?」
「嫌ネ! もう離れないアル!」
まあいいか……
タオさんに抱きつかれたまま、俺は翼を広げて飛び上がる。
そして空から周囲を見渡し、目的の二人を探す。
ええと……このずば抜けて高い魔力を持つのがオルトス様だろう。
少し離れた場所に、この中で一番の魔力量を持つ人物が居た。
それから……転移を使うスキルは、おそらくソウルスキルだ。
だったらソウルを探ればいいはず。
おっ……いたいた。
数百メートル離れた山の中腹に、転移系のソウルスキルを持つ男と、弓聖と思われる女がいた。
俺は彼らをソウルで包み、権能を行使した。
「強制召喚」
すると俺の真下に、白髪を綺麗に撫でつけたオールバックの御仁と、きのこ頭の男、弓を持った赤髪ショートの女性が現れた。
俺は再び地上に降下していき、三人の前に降り立った。
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