第34話 レベル50

 シーカーリングでセットしていた目覚ましの音で、俺の意識は覚醒する。


 時刻は朝6時、いつもは家の近くを走ったりするんだけど、今日は剣の鍛錬だけに留めた。

 夕方まで探索する予定だし、走る場所もない。


 昨日の戦闘で全員のレベルが2上昇した。


 俺は後一つでレベルが50になる。

 最大レベルのちょうど半分、何が解放されるか少し楽しみだ。


 リトスとディーンを龍装し、リュートを召喚して探索を開始する。




 そして昼を少し過ぎた頃。

 16階層にて、スケルトンジェネラルの集団との戦闘で俺のレベルが50になった。


『レベルが上昇しました』

『レベル50到達を確認、「部隊編成」が解放されます』

『功績の達成を確認、報酬を確認できます』


 今回のコアスキルは「部隊編成」か……後は功績も久しぶりに達成したようだ。


 近くの壁際で結界石を起動し、安全地帯を作る。


 まずは「部隊編成」から確認しようかな。


 ______

 ・部隊編成

 :自分を含めたパーティーメンバーを指揮官とし、その下に部隊を編成する。

  編成された部隊は一つのパーティーとして認識され、経験値は40%が均等に分配される。

  指揮官は自分を含めて5人まで。

  指揮官の下に、部隊員5人を構成できる。

  指揮官は部隊員または他の指揮官に、思考を共有できる。

  部隊員から指揮官への思考の共有は不可。

  指揮官は半径50メートルの範囲で、部隊員を召喚できる権限を持つ。

  指揮官と隊員の「龍装」は、パーティーメンバーの数にカウントされない。

 ______

 

 なんだか複雑なスキルだな……


 この下にもっと説明が続いているが、とりあえず重要なのはこんなものかな?

 一通り説明欄を見たが、なかなかに優秀なスキルだ。


 一番嬉しいのはこの部分かな?


 ”指揮官と隊員の龍装は部隊メンバーにカウントされない”


 今俺の経験値は、本来のパーティーのシステムで計算されている。


 ダンジョンで経験値が入るパーティーは最大で5人。

 今までは、この5人の中にリトスやディーンが含まれていた。


 現在の俺のパーティーはこうだ。


 ______

 パーティー(最大5人)

 ・俺

 ・リトス(俺に龍装)

 ・ディーン(俺に龍装)

 ・リュート

 ・龍馬(リュートに龍装)

 ______

 

 現状ではパーティーメンバーを増やすことができない。

 一応「龍装」でジュエルドラゴンのバフを増やすのも可能だが、経験値が入らない。

 

 実際に戦うのは俺とリュートの二人なんだが、リトスやディーンがパーティーメンバーにカウントされているせいで、パーティーメンバーを増やしても経験値が入らない状態だ。


 しかし「部隊編成」を使用すると、俺のパーティーはこうなる。


 ______

・俺+リトス(龍装)+ディーン(龍装)

・リュート+龍馬(龍装)

 ______

 

 龍装がメンバーにカウントされないことで、さらにパーティーメンバーを増やせるようになったということだ。

 メンバーにはカウントされていないが、龍装状態のリトス達にも経験値が40%入る仕組みらしい。

 

 正直この「部隊編成」と言うスキルはかなり強力だ。


 そしてパーティーメンバーの数だが、5人の指揮官とその下に5人ずつの部隊員、合計で30人の部隊が一つのパーティーとして認識される。

 俺が倒した経験値が、他の29人のメンバーと「龍装」している眷属にも40%の経験値が分配される。


 ダンジョンの攻略には過剰な戦力だと思うんだが……


 まあ、攻略が楽になることは間違いないから良いのかな?

 このスキルのおかげで、C級の眷属を増やす目処が立ったな。

 

 30人のメンバーを全て揃えるには、魔石が全くと言って良いほど足りない。

 分かってはいたが、おそらく魔石に余裕が出ることはないんじゃないかな?


 ______

 インベントリ

 魔石

 ・F級:773個(+56)

 ・E級;361個(+78)

 ・D級:337個(+122)

 ・C級:376個(+168)

 ______

 

 現在の魔石の数を確認して、今後の予定を考える。


 うーん……C級の眷属は何体か召喚できる数がある。

 でもやっぱりF級の魔石が足りない。

 俺のスキルも上げ切ってしまいたいし、それから眷属たちのスキルを上げることを考えると、もう少し魔石を確保したい。


 とりあえずの方針としては、指揮官の最大数である5人になるまで眷属を増やす方針だ。


 ひとまずC級の攻略を優先して、B級の眷属がどんなものか確認したい。


 もし「龍装」がメインの眷属ではなく、ドラゴニュートのように自身が戦闘するような眷属なら、指揮官はB級にしたほうがいいだろう。


 それにB級の魔石であれば、1個分解すればF級魔石が625個になる。

 魔石もB級ダンジョンで集めるほうが効率がいいし、ひとまずはC級の攻略を急ぐことにした。


 功績はボス討伐後に確認しよう。




 そして俺はその後も順調に攻略を続け、ついに第20層のボス部屋まできた。

 

 道中は魔石を集めながら、かなりゆっくり来た。

 ダンジョンで一泊したおかげで時間には余裕があったからね。


 そして何組かのボス攻略を待って、ようやく俺の番が来る。


 ボス部屋に入ってすぐに、リュートを影から呼び出す。


「リュート、今回は二人で連携しながら倒すぞ。俺の指示通り動いてくれ」


「お任せください! 王と共に戦えるこの名誉、全身全霊で参ります!」


 現在俺を指揮官とし、リュートをその下の部隊員に設定している。


 ここまでの道中で「思考の共有」を試してみたが、かなり有能な能力だった。


 俺の指示がイメージとしてそのままリュートに伝達される。

 タイムラグも無いに等しい。

 これならボスも問題ないだろう。


 今回のボスはC級のスケルトンキングが一体に、同じくC級のブラック・スケルトンソルジャーが2体左右に並んでいる。

 ここのダンジョンは数が少ないが、非常に厄介なスキル構成をしている。


 光属性以外の耐性スキルを全て高レベルで持っているし、「刺突耐性」や「斬撃耐性」という、人間では取得できないスキルも持っている。

 そのため非常にダメージが通り辛い。


 リュートの「龍短剣術」をうまくっ使っていくのがベストかな。 


 俺と違ってリュートの龍気は自然回復する。

 

 リュートの「龍短剣術」である程度HPを削って、とどめは俺の剣術で行こうかな。


 俺は思考でリュートに指示を出す。


 リュートは双龍の短剣を構え、龍短剣術を発動する。

 

「二刀龍・蒼月乱刃そうげつらんじん!」


 無数の龍気による斬撃が、スケルトンを襲う。


 俺はリュートが放つ斬撃の雨の中を走り抜け、「剣術」スキルを使用する。


「ライト・エンチャント!」


 大剣が光を帯びて輝き出す。

 ______

「剣術」Lv9:エレメンタルエンチャント

 ・ライトエンチャント

 剣に光属性を付与し、光の特性を付与する。

 剣速の上昇とアンデットに対する特攻が発動する。

 ______


 俺が斬撃と共にスケルトンキングに迫ると、スケルトンキングの周りに無数の魔法陣が浮かび上がる。


「「「「カタカタ」」」」


 スケルトンキングはスケルトンを召喚し、俺の行手を阻む。


 俺は速度を落とし、斬撃を先行させると、召喚されたスケルトン達に命中するが、数体が残る。


 すぐにリュートに思考で指示を出し、追加で龍気の斬撃を要請する。


「お任せください! 蒼月乱刃!」

 

 そして全てのスケルトンがいなくなったところで、俺はスケルトンキングに接近する。


「ガアア!」


 スケルトンキングは右手に持つ巨大な剣を振り下ろす。


 こいつを先に倒せば、人数は互角になって戦いやすくなる。


 俺は迷わず「龍剣術」を発動。


「龍閃咆!」


 光属性のエンチャントに加えて龍気を纏った大剣を、スケルトンキングの魔石目掛けて放つ。


 龍の咆哮が轟く。


 俺に向けて振り下ろされた剣諸共、跡形もなくスケルトンキングを吹き飛ばした。


 残るはブラックスケルトンが2体。


 スケルトンの上位個体で、闇魔法も使用してくる。

 だが1番厄介なキングを討伐した為、俺とリュートで一体ずつ対処すれば問題なく倒せるだろう。


 リュートと背中を合わせ、それぞれ一体ずつ相対する。


「後ろのやつは頼んだぞ?」


「はい!」  


「「魔纏!」」


 そして俺は目の前のブラックスケルトンに肉薄し、魔石に一撃を叩き込む。


――パリン!


 そして後ろを振り返ると、短剣をスケルトンの魔石に突き立てるリュートの姿があった。 


 俺たちは無事最後のブラックスケルトンを討伐した後、魔石と討伐報酬を回収した。


 ボス報酬は「聖光のネックレス」というマジックアイテムと、金のインゴットが3kgだった。


 ______

・聖光のネックレス

 :光属性の攻撃の威力を15%強化する。

 :闇属性の攻撃に対する耐性が15%上昇する。

 ______

 

 売れば結構いい値段がつくはずだけど、今後アンデット系のダンジョンに入る場合は攻略が楽になるだろう。

 ひとまず売らずにキープしておく、お金はインゴットの方を売れば十分だ。


 ボス部屋は一応、ボス討伐後は安全地帯ではある。

 ここで功績の確認と、C級の眷属を一体増やそう。


 俺は達成した功績を確認するためにステータス画面を開いた。

 


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