第7話 龍の力

 あれから1時間ほど第二層を進んで、ようやく第三層に降りる階段にたどり着いた。


 ここまでの戦闘で俺のレベルは9に上がり、ジュエルドラゴンのレベルが8に上がった。


 ______

 ジュエルドラゴン

 Lv8

 HP:108

 MP:108

 筋力:108

 耐久:108

 器用:108

 敏捷:108

 知力:108


 スキル

 ・龍装

 _______


 今はルビーの指輪に「龍装」しており、倍率は8%まで上昇している。

 ちなみに一体しか召喚していない。


 複数召喚すると経験値が分散されて、一回の戦闘の経験値が減ってしまうのだ。

 今は自分のレベルを優先することにした。


 



 第三層に降りてしばらく歩いていると、ゴブリンランサー2体とゴブリン4体の集団に遭遇した。


 この階層で一度に出現する最大数の集団だ。


 前列に4体のゴブリンで、その後ろに2体のゴブリンランサーが槍を構えている。


 剣を右手に召喚し、左手で魔法を二度連続で発動する。


「ファイアーアロー!」


「火魔法」レベル2で覚えるスキルで、飛翔速度の速い魔法だ。


 前衛の中央の2体を高速で飛翔する炎の矢が貫く。


 まずは2体……。

 

 すぐさま剣を逆手に持ち替え、後衛のゴブリンランサーめがけて大剣を槍投げのように投擲する。


 ブン!

 

 剣は風切り音を立てながら、ゴブリンランサーめがけて飛んで行く。

 筋力値と「投擲術」の補正により、あっさりとゴブリンランサーの胸を貫く。


「魔纏!」


 すぐさま「魔纏」を発動して、残る2体のゴブリンに突貫する。


 素早く一匹のゴブリンに近づき、両手で剣を握るように上段に構え、そこに先ほど投擲した大剣を「召喚」する。


 投擲していた剣は手の中に現れ、そのまま振り下ろす。


 続け様にもう一体のゴブリンを横薙ぎに両断し仕留めた。


 すると最後のゴブリンランサーが、俺めがけて槍を突いてくる。

 だが俺は難なく躱し最後の一体を仕留めた。


「思った通り投擲術はなかなか使えそうだな」


 剣を投擲して、「召喚」で回収する。

「投擲術」のスキルを得た時に思いついた方法だ。


 思いついた戦法がうまく機能して、少し気分が上がってきた。


 よし、どんどん先に進もう。


 


 それから数回戦闘したところで俺のレベルが10に上がった。


『レベルが上昇しました』

『レベル10到達を確認。ネームド機能が解放されます』

『功績の達成を確認。功績で報酬を確認できます』


 立て続けにアナウンスが鳴り響く。


 ふむ……レベル10で何かあるかもとは思ったけど、やっぱりあったか。


 5レベル毎に機能が追加されていくのかな?


 本当に俺のステータスは色々おかしいな、まあ今のところこの力については確かめようが無いけど。


 もしかしたら上位探索者になれば、何か情報があるかもしれないな。


 とりあえずネームド機能から確認していくか。

「気配察知」で周囲に気を配りながら確認していく。


 ______

 ネームド

 :眷属に名付けをすることができる。名前を付けられた眷属は上位種族に進化する。

 ネームドできる眷属はCランクを除き、各ランク一体のみ。

 ______


 ん? Cランクは複数できるのか? それともできないのかな?


 まあ今は確かめようがないし、ジュエルドラゴンに名付けをしてみるか。


 ジュエルドラゴンの「龍装」を解除すると、ルビーの指輪が輝き出し、幼龍が姿を現す。


「ピュイ!」


 可愛らしい鳴き声をあげてパタパタと飛んでいる。

 

 ん? なんだか様子が変だな……。


 ふらふらと俺の顔付近に近づいてきたと思ったら、前足?で頭をペシペシと叩いてきた。


「お、おい!急にどうしたんだ?」


 別に痛くはないが……、(なんでずっと指輪のままの!?)みたいな思念?のようなものが伝わってくる。

 

 これもコアか何かの影響なのだろうか? はたまた眷属だから意思が伝わるのだろうか?


 そういえば最初に召喚してからずっと指輪のままにしていたことを思い出した。


 俺はジュエルドラゴンを両手で抱き、指で顎の下をさすりながら謝罪する。


「悪かったな。お詫びと言ってはなんだけど、名前をつけるから許してくれないかな?」 


 少し拗ねたようにプイッとそっぽを向いていたが、名前をつけると聞いた途端に機嫌を戻した。


「ピュッ! ピュイー!」


 とても嬉しいみたいで、パタパタと俺の周りを飛び回り始めた。


「じゃあ君の名前は『リトス』でどうかな?」


『ピュイ? ピュイー!』


「リトス」と名付けた瞬間に、リトスの体が輝き始めた。


 そして光が収まると、白銀の体毛に、瞳と宝石が七色に輝く小さな龍が現れた。


 ______

 名前:リトス

 種族:レインボージュエルドラゴン

 Lv13

 HP:163

 MP:163

 筋力:163

 耐久:163

 器用:163

 敏捷:163

 知力:163


 スキル

 ・龍装

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 龍装のスキルを確認してみる。


 ______

 龍装

 虹の指輪:全ステータスを、Lv1×1%+50%上昇する。最大150%。

 HP、MP自然回復速度が20%上昇。

 ______


 これは……凄まじいバフ効果だ!。

 リトスを装備するだけで全てのステータスが1000を超える数値になる。


 H PとMPの自然回復速度が上がるのもかなり優秀だ。

 既に持っている「HP・MP自然回復速度上昇」と合わせて25%速くなる。

 通常は3分で1%だから、2分15秒で1%回復する計算になる。3時間45分でゼロから満タンになる速度だ。


 これからの探索がかなり捗りそうだな。


 俺はリトスを龍装で「虹の指輪」に変換し装着する。


 功績はとりあえず帰ってから確認するか。リトスだけでE級ダンジョンは行けるだろう。




 それから俺は探索を続け、第五層のボス部屋にたどり着いた。


 道中のE級魔物もほとんど相手にならなかった。

 レベルは魔物の方が高いが、バフの影響でステータス自体はかなり上回っている。


 ボス部屋にたどり着くまでに俺のレベルは12に上がって、リトスは15になった。

 敵のレベルが高い分、経験値が高くなっていると思われる。


 ______

 名前 天霧 英人

 Lv 12

 HP:1300/1300(+400)

 MP :1140/1300(+400)

 龍気:2050


 筋力 :1400(+400)

 耐久 :1300(+400)

 器用 :1300(+400)

 敏捷 :1300(+400)

 知力 :1300(+400)

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 ここにリトスのバフで65%上昇が乘り、各ステータスは2000を超えるほどにまで上昇する。


 


 ボス部屋の扉を開け中に入ると、ホブゴブリンが三体と武器持ちのゴブリンが6体並んでいる。


 ここで始めて「龍剣術」のスキルを発動することにした。


 ______

 龍剣術

 Lv2:龍閃咆りゅうせんほう 龍気を纏わせた剣で高速の一閃を放ち、前方に龍気による衝撃波を放つ。龍気を纏う程、威力と速度が上昇する。消費龍気の最大は龍剣術のレベル×1000、最大10000。

 ______


 かなり龍気を消耗するため今まで使わないでいたが、ここで一度試しておくことにした。


「魔纏!」


「「「「「「「「「ギギャギャギャ!」」」」」」」」」


「魔纏」を発動すると、ゴブリンたちが一斉にこちらに突撃を仕掛けてくる。


 俺は一歩も動かずに、その場で剣に龍気を纏わせ始める。


 剣はやがて蒼金色ブルーゴールドのオーラを纏い始め、竜の唸り声のようなものを轟かせ始める。


 これは……すごいな。


 凄まじい力の奔流をビシビシと肌で感じることができる。


 ゴブリンたちを十分に引き付け、間合いに入ったと同時に龍剣術を発動する。


龍閃咆りゅうせんほう!」


 横凪に振るわれた大剣は、龍の咆哮のような轟音を轟かせながら高速で振るわれる。


 前方に龍気の衝撃波が発生し、ボス部屋が揺れる。


 9体全てのゴブリンを、文字通り一瞬で消し飛ばした。


「ハハ……これはやばいな……」


 あまりの威力に乾いた笑いしか出てこない、なかなかのオーバーキルだったようだ。


 


 しばらく呆然としていたが、俺は散らばった魔石を回収し宝箱を開けることにした。


 確かここは、銅のインゴットだったかな?


 宝箱を開けると、銅のインゴットが3本入っていた。

 一本1キロほどのインゴットだ。


 インベントリに回収し、今日の成果を確認する。


 ______

 インベントリ

 ・魔石

 F級:102個

 E級:392個

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 俺は転移魔法陣で地上に出た後、協会でインゴットとE級魔石を換金することにした。

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