第6話 眷属召喚

 次の日の朝、朝食と日課を済ませた俺は、庭で昨日の戦果を確認することにした。


 ______

 インベントリ

 ・魔石

  F級:118

  E級:56

 ______


 F級ダンジョンに潜った時の余りの魔石が6個だったから、昨日だけで合計168個か。


 昨日みたいに一日中歩き回って戦い続けるのは流石に疲れるな……


 眷属に戦わせる事ができたらいいんだけど。


 早速眷属召喚してみるか。


「眷属召喚」のスキルをタップすると、スキルガチャと同じような魔法陣の画面に切り替わる。


「10連」の代わりにアルファベットで「E」から「S」までの文字が並んでいる。


 なるほど、それぞれのランクに眷属がいるのか……S級の眷属がどれほど強いか楽しみだな。


「E」をタップすると魔法陣が輝きだし、一枚のカードのようなものが表示される。


「ジュエルドラゴン」と書かれており、そこには小さな龍の姿が描かれている。説明欄には「召喚」のスキルで召喚できると書かれているので早速召喚してみる。


「召喚!」


 空中に直径50センチほどの魔法陣が出現し、魔法陣から小さな龍が姿を現す。


「ピュイー!」


 元気な鳴き声をあげて現れたのは体長30センチほどの子龍で、小さな翼をパタパタして浮かんでいる。


 俺は両手で受け皿を作るようにして差し出すと、子龍が手のひらにちょこんと着地した。


「ピュイ」


 なんだか……ものすごく愛くるしい見た目をしている。


 つぶらな瞳に小さなツノが2本、体は鱗ではなく柔らかい体毛で覆われている。両手?前足?でお腹にはまっている宝石を撫でながら俺の手のひらに座っている。


「かわいいのはいいけどちゃんと戦えるのか?」


 独り言のようにつぶやいただけだったが、俺の言葉を理解しているかのように反応してきた。


「ピュイ!」


 鳴き声をあげて首を横に振っている。


 戦えないと言う事だろうか? なら何ができるんだ?


 俺がそう考えていると、ステータス画面が表示された。


 ______

 ジュエルドラゴン

 Lv1

 HP 101

 MP:101

 筋力 :101

 耐久:101

 器用:101

 敏捷:101

 知力:101


 スキル

 ・龍装 

 ______

 

 うん……本当に戦えなさそうだな……この「龍装」と言うスキル次第か。


 「龍装」のスキル説明を見ると次の様に書かれていた。


 ______

 龍装:龍の力を宿した装備に変身する。装備できるのは龍脈回路を持つ者、もしくは契約者のみ。指定した宝石の色で効果が変わる。

 「ルビー」:筋力が1%上昇する。

 「サファイア」:知力が1%上昇。

 「エメラルド」:耐久が1%上昇。

 「トパーズ」:器用が1%上昇。

 「アメジスト」:敏捷が1%上昇。

 上昇割合はレベルによって変動する。最大100%

 ______

  

 なるほど、ステータスにバフがかかるのか。今は数値が低いけど、最大レベルになるととんでもない性能になるな。


 早速「龍装」を発動して装備してみることにする。


「龍装!ルビー」


「ピュイ!」


 スキルを発動すると、手のひらに乗っていた子龍が光を纏い、ルビーの宝石が嵌まった指輪に変わった。


 俺はとりあえずルビーの指輪をしばらくは装備しておくことにした。


 次はスキルガチャだな。


 溜まっているF級魔石で早速10連を行う。


 ______

 リザルト

 ・敏捷強化 NEW

 ・魔闘術

 ・盾術 NEW

 ・光耐性 NEW

 ・地魔法 NEW

 ・短剣術 NEW

 ・MP自然回復速度上昇 NEW

 ・筋力強化

 ・弓術

 ・火魔法

 ______

 

 少しずつだが被るようになってきたな、しかしレアスキルが出にくい上に基本スキルが全て排出されるとしたら相当に闇鍋仕様のガチャみたいだな。


 とりあえず「剣術」がレベル2になるまではガチャのために魔石を集めることにしよう。


 俺はそれから「剣術」スキルのレベルを上げるために、毎日E級ダンジョンの第1層でひたすら狩りを続けた。


 


 E級ダンジョンの一層で魔石集めを続けること5日、毎日朝一から夕方の6時までひたすら狩りを続けた。


 ジュエルドラゴンの「龍装」おかげで、かなり楽に戦えている。


 その結果五日間で、F級魔石が587個、E級魔石が288個ほどの数を手に入れることができた。

 レベルも8に上昇している。


 魔石集めを始める前と合わせて、魔石の数はこうなった。


 ______

 インベントリ

 ・F級:605

 ・E級:284

 ______


 E級が50個ほど少ないのは、狩りの最中にジュエルドラゴンの「龍装」によるバフが幾つ同時に反映されるかの検証のために、5回ほど「眷属召喚」を行ったためだ。


 結果は同時にバフが反映されるのは4つまでだと判明した。おそらくこれはパーティーと言うシステムに関係していると思われる。


 ステータス上でパーティーを組むことで、最大5人まで経験値を得られる。

 パーティーを組んでおけば、誰が魔物を倒しても均等に経験値が得られると言うありがたい仕組みだ。


 俺の場合、俺の他に「龍装」しているジュエルドラゴン4体に、経験値が入っていることを確認した。


 つまり現状、E級魔石の使い道が無くなったとも言える。

 まあ「眷属召喚」の時みたいにいきなり何かが追加されて、使い道が増えるかもしれないけど……。


 なので当分の間はE級魔石200個を残して、溢れた分を換金することにした。

 俺の場合、スキルで魔石を大量に使うから売るものがなくて収入が無いからね。


 話が逸れたが、F級魔石600個を使ってガチャを引いていく。そろそろ下層の攻略に乗り出したい……。


 そして60連のガチャで手に入れたスキルをすべて習得した結果がこれだ。



 ______ 

 名前 天霧 英人

 Lv 8

 HP:900/900(+300)

 MP :900/900(+150)

 龍気:2050


 筋力 :1000(+400)

 耐久 :900(+300)

 器用 :900(+300)

 敏捷 :900(+300)

 知力 :900(+300)


 スキル

 ・武術系

 剣術Lv2、弓術Lv2、槍術Lv1、斧術Lv1、短剣術Lv1、盾術Lv1、魔闘術Lv2、投擲術Lv1、

 ・魔法系

 火魔法Lv2、水魔法Lv1、風魔法Lv1、地魔法Lv1、光魔法Lv1、闇魔法Lv1、回復魔法Lv1

 ・強化系

 HP強化Lv1、MP強化Lv1、筋力強化Lv2、耐久強化Lv1、器用強化Lv1、敏捷強化Lv1、知力強化Lv1、

 ・耐性系

 火耐性Lv1、水耐性Lv1、風耐性Lv1、地耐性Lv1、光耐性Lv1、闇耐性Lv1、毒耐性Lv2、麻痺耐性Lv2

 ・特殊系

 気配感知Lv1、気配遮断Lv1、魔力感知Lv2、魔力遮断Lv1、危険感知Lv1、HP自然回復速度上昇Lv1、MP自然回復速度上昇Lv1、思考加速Lv1、夜目Lv1、遠視Lv1、言語理解Lv1


 エクストラスキル

 龍剣術Lv2、龍圧


 ______


 今回のガチャでおそらく、レアスキル以外のスキルはすべて一個ずつ習得したようだ。


 そしてレベルが上昇したスキルは「剣術」、「弓術」、「魔闘術」、「火魔法」、「筋力強化」、「毒耐性」、「麻痺耐性」、「魔力感知」の合計8つのスキルだ。


 「剣術」がレベル2に上がったことで、ようやく「龍剣術」の一つ目のスキルが解放された。


 龍気を使ったスキルを次の探索で試してみよう。

 龍気に関してはその日余ったMPを寝る前に変換して溜めていたので、2千程溜まっている。


 そしてついにレアスキルの2つ目、「龍圧りゅうあつ」が手に入った。

 

 E級ダンジョンの攻略が落ち着いたら試してみよう。

 

 そして今日からはいよいよE級ダンジョンの攻略を進めていくことにする。早速支度をしてダンジョンに向かった。




 俺は1階層を最小限の戦闘で切り抜け、2階層に降りていた。


 2階層からはF級の割合が減って、E級が複数出現することになり、敵のレベルも10に近くなってくる。


 しばらく荒野のフィールドを歩いていると、ホブゴブリン2体に遭遇した。


 ゴブリンより一回り大きい体格で、武器は持っていないが「魔闘術」のスキルを使ってくるらしい。


「魔纏!」


 魔力が体を覆い、身体能力が向上する。「魔闘術」のレベル上昇により、上昇値が10%まで上がっている。


 素早く一体のホブゴブリンの背後に回り込み、その首を刎ねる。


 今の敏捷値は900、筋力はジュエルドラゴンのバフと合わせて1000を少し超えた数値だ。

 ホブゴブリンの数値を大きく上回っているので、かなり余裕があるな。


「ギギャア!」


 もう一体のホブゴブリンが、魔力を纏って突進してくる。


 俺はステップで横にかわし、そのまま横薙ぎに大剣を振るう。


 大剣とホブゴブリンが衝突し、易々と胴体を両断した。


 2体のゴブリンはあっさりと魔石に変わる。


 俺は魔石を回収し、第三層を目指して奥へと進んだ。




***

あとがき、本日夕方にもう一話投稿します。


まだ始まったばかりですが、ここまで読んでいただき感謝です!

これからも応援よろしくお願いします!(≧∇≦)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る