第5話 最初の一歩
『レベル5到達を確認、眷属召喚が解放されます』
「は!?」
聞いたことのない言葉と、レベルが上がるだけだと思っていたこともあり思わず声を上げてしまった。
すぐにステータスを確認する。
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名前 天霧 英人
Lv 5
HP:600/600(+100)
MP :550/600(+100)
龍気:100
筋力 :600(+100)
耐久 :600(+100)
器用 :600(+100)
敏捷 :500(+100)
知力 :600(+100)
スキル
剣術Lv1、弓術Lv1、槍術Lv1、魔闘術Lv1、投擲術Lv1、火魔法Lv1、風魔法Lv1、HP強化Lv1、MP強化Lv1、筋力強化Lv1、耐久強化Lv1、器用強化Lv1、知力強化Lv1、火耐性Lv1、水耐性Lv1、闇耐性Lv1、毒耐性Lv1、気配感知Lv1
エクストラスキル
龍剣術Lv1
コアスキル
召喚、送喚、スキルガチャ、眷属召喚、インベントリ、龍脈回路、功績
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コアスキルの欄に「眷属召喚」が追加されている。
「眷属召喚」をタップして詳細をみる。
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眷属召喚
・E級以上の魔石を消費して対応ランクの眷属を召喚する。消費魔石量は眷属一体につき同じランクの魔石10個。
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何が召喚されるかは一切書かれていないが、すぐに召喚することは無理そうだな。
ひとまず戦利品を回収しよう。
ボスは必ず魔石以外のものをドロップする。
この初心者ダンジョンは確か、下級ポーション三つだったはずだ。
「お!これが宝箱か」
中身が分かっていてもなんだかワクワクするな!
幅30センチほどの小さな宝箱を開けると、黄色の液体が入った小瓶が三つ入っていた。
今回のボスの戦利品はF級魔石5個に下級ポーション三つだ。今後の探索用に売らずにおくとしよう。
戦利品をインベントリにしまい、ボス部屋の奥に設置されている帰還用転移魔法陣で地上に帰還する。
既に20時を過ぎてあたりはすっかり暗くなっていたので、急いで家に戻る。
家の扉を開くと、玄関にはなぜか妹の鈴が立っていた。
「ただいま鈴。なんで玄関にいるんだ?」
「はぁ……なんでって、今日なんの日か知ってる?」
うん? 何かあったか? 全く覚えていない……。
「すまん……なんの日だっけ?」
「やっぱりね……今日は12月20日!お兄ちゃんの誕生日でしょ!」
すっかり忘れてた……朝食後にステータスが開花してからダンジョンに行くことしか頭になかった。
そうか、今日で18歳か……。
「お母さんも私もお腹ペコペコだよ!」
「悪かったよ。ダンジョン行ってたら気づいたらこんな時間だったんだよ」
「へ?……お母さーん!」
数秒フリーズした後、叫びながらリビングへと走っていってしまった。
鈴を追いかけてリビングへと着くと、すごい剣幕の母に席に座るように言われた。
慌てて椅子に座り、背筋を伸ばす。
「英人……あなた探索者登録はできなかったんじゃなかったの?」
「いや、なんと言いますか……今日ステータスが突然目覚めまして」
「「え!?」」
ステータスを手に入れたことを伝えると二人とも口を開けて驚いている。
「お兄ちゃんよかったね!それでジョブはなんだったの?」
「あー、ジョブはなかったけどユニークスキルならあったよ」
協会でもそういうことになってるし、変わった能力だから間違いでもないだろう。
「ユニーク!?どんな能力なの!?」
「それはまだ秘密だ」
まだよくわからないことが多いし今はこれでいいだろう。実際ガチャでスキルを得るだけだと思っていたら何かを召喚するスキルが増えたしな。
「むー、お兄ちゃんのケチ」
「そのうち教えてあげるよ」
少し拗ねられてしまったがまあしょうがない。
すると、今まで黙っていた母さんが意を結したような表情で話し始めた。
「英人……どうせあなたはダンジョンに行くなって言っても聞かないだろうから、一つだけ約束して」
「うん」
「必ず生きて帰ってきて」
「……わかったよ母さん。必ず帰ってくるよ」
母さんの目には少し涙が溜まっているように見える。
少ししんみりとした空気になりかけたところで鈴が空腹を訴える。
「お母さ〜ん、早く食べよ〜よ〜」
「そうね!食べましょう。それと英人、お誕生日おめでとう」
「お兄ちゃんおめでとー!」
その後誕生日ケーキをみんなで食べて、誕生日パーティ兼夕食は終了した。
次の日、日課の剣の鍛錬とランニングを終えた俺は、探索者協会に来ていた。
「いらっしゃいませ。どの様なご用件でしょうか?」
「ランクの更新をお願いします」
「かしこまりました。探索者証をそちらの画面にかざしてください」
俺はシーカーリングを、登録するときにスキルなどを入力した機械に近づける。
「ありがとうございます。討伐報酬の提示をお願いいたします」
俺はインベントリの偽装用に持ってきたポーチに手を入れて、そこにポーションを出してから受付嬢に見せる。
ダンジョン産のマジックポーチなどは存在するが、収納系の魔法は存在しないためこうしている。
「ありがとうございます。確認いたしました」
ちなみに売っているポーションには企業のマークなどがあるため、買ってきたのでは? と疑われることはほぼない。シーカーリングのダンジョン入場記録と合わせて確認しているみたいだ。
「おめでとうございます。こちらE級探索者証になります」
「ありがとうございます」
俺は新しい鉄製のシーカーリングを受け取り、今まで使っていたものと同期させる。
これでE級になることができた。
次の目標はD級、一歩一歩着実に駆け上がっていこう。
今日は夜までE級ダンジョンに行ってみるか。
池袋支部から20分ほど歩いたところでE級ダンジョンに到着した。
池袋支部周辺にはE級ダンジョンが三つあり、それぞれゴブリン、アンデット系、昆虫系と出てくる魔物が変わる。
D級探索者になるにはこの三つを攻略しなければならない、そこで最初に選んだのはゴブリン系のE級ダンジョンだ。
戦い慣れていると言うのもあるが、まずはスキルのレベルを上げるために上層でF級魔石を集める必要がある。
大抵の探索者はこの時点で剣術などのメインのスキルはレベル3に成長させているのが普通だ。
俺の場合、今のところステータスでゴリ押せてるが、やはり「剣術」や「魔闘術」のレベルは上げておきたい。
ついでにE級魔石で眷属召喚をするのも今日のノルマだ。
入り口でシーカーリングをかざして中に入る。
今回のE級ダンジョンは全5階層の荒野のフィールド。
E級の魔物はホブゴブリンや武器持ちゴブリンで、こいつらがF級のゴブリンを引き連れているという具合だ。
「さて、今日は夕方まで狩れるだけ狩るか」
しばらく探索をしていると、すぐに獲物を見つけた。
ゴブリンソードマン1体と2体のゴブリンが現れる。おそらく全員レベル6程度だとだろう。
剣を召喚し「魔纏」を発動する。
「「ギギャ!」」
2体のゴブリンが先行して襲いかかってくる。
大剣のリーチを生かして大きく横なぎに剣を振るい、2体同時に両断する。
一人になったゴブリンソードマンが剣を片手に突っ込んできた。
「ギギャ!」
ガキン!
剣で攻撃を受け、
「筋力はまだ俺のほうが高そうだな」
ゴブリンソードマンの剣を勢いよく押し上げ、大きく後ろにのけぞらせた。
ガラ空きになったところに上段から剣を振り下ろす。
ドン!
大剣はゴブリンの体を切り裂き、その勢いで地面に食いこむ。
「ふぅ、今のステータス差だと下層は厳しそうだな」
第五層のボスはレベル20で、HPも1000ほどはあるらしい。
俺のレベルやスキルレベルが低いため、F級みたいに1日で踏破することはできないと思う。
今日は一層で時間いっぱい狩ることにしよう。
その後も槍を持ったランサーや弓持ちのゴブリンアーチャーなどに遭遇したが、順調に攻略を続けた。
「そろそろ帰るか……」
朝一から潜り始めて午後6時で探索を切り上げた。
どれくらい魔石が溜まったかはもう数えていない。
眷属召喚は帰ってからにしよう。
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