てきとーな、狩り


 新しく奴隷の姫イージスを購入した。

 ベッドの上でわからせ、現実のスイーツを食わせた。


 その後、俺はイージスに事情を説明。


「なるほど、まれびとであったのじゃな」

 

 俺たちは森の中を歩いてる。

 洋館からでたとこを適当にぶらついていた。


「なんだ、イージス。知ってるのか、まれびと?」

「ああ。遠い昔、この地上にまだ神がいた頃は、よくまれびととよばれる異世界人が来ておったらしいからの」

「地上に……神?」


 なんだそりゃ。


「我らがいるこのジンナという世界には、かつて人と神が共存しておったのじゃ。しかし、いつしか神は地上を見捨て、天界と呼ばれるいとたかき場所にこもってしまい、以降、まれびとはこの世界にこなくなったのじゃと」


 そんな時代背景が……

 昔は神もいたし、異世界人もいたのか。

 で、何かあって神も異世界人もいなくなった……。


「それって、まれびとが神様なんじゃないの?」


 そこがイコールのようにしか聞こえないのだが。


「人間と神は違う」

「でも神がいなくなったら、まれびとがいなくなったんだろ?」

「それは……まあそうじゃが。真相はわからん」


 大昔のことっていうしな。


「ともあれまれびとという存在は、伝説の存在ではあるが、しかし実在していたのじゃ。ゆえに驚きはすれど、存在を疑いはせぬ。そちの持つ力を鑑みれば至極妥当といえよう」

「世界扉や現実のスイーツのこと?」

「それもあるが……」


 かぁ……とイージスが顔を赤くする。


『ベッドでの寝技のことを思い出してるのであろう?』

「や、やかましいわ駄犬! 一生口を閉ざしておれ!」

『ふん、なぜ主でもない貴様の命令に従わねばならぬ? おぬしとちがって、我が輩はベッドで貴様にアンアンされておらん』

「ぶ、ぶ、無礼もの……!!!! 焼き殺してやろうか!」

『ふん、できるものならやってみろ』


 ケンカしないでほしい……まじで……。

 なんかほんとずっとケンカしてるなこいつら。


「で、そちは何をしておるのじゃ?」

「おー、金稼いどこうかなって」


 現実での楽な暮らしを実現しているのは、こっちでの狩り。

 俺には等価交換っていうスキルがある。


 こっちで倒したモンスターや、見つけたアイテムを現実の金に変換できる。

 今俺は三人を養っている状態だ。しかもそのうち一人は大型犬で、やたらと飯を食らいやがる。


 金がかかるのだ。だから、定期的に狩りをしないいけないわけだ。


 ぴくっ、とフェリが耳を揺らす。


『主よ。敵だ。地面から来るぞ』


 俺はイージスを抱えて、浮遊魔法で飛び上がる。


「なっ!? ふ、浮遊魔法!? 失われしいにしえの魔法を!? なぜそちが使えるのじゃ!!!」

「まあ、賢者の孫なんで、俺」

「賢者だと!?」


 地面から出てきてきたのは、黒い鱗を持ったデカい竜だ。


「な、な、な!? 地岩竜ベヒーモス!?」


 イージスが眼前の馬鹿でかい竜を見て驚いてる。

 プライドの高いこの女が、ここまで感情をあらわにするなんて。

 そんなやべえやつなのか?


「まあ俺には関係ないけどな。風裂刃ウィンド・ストーム


 びょぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!


 発生した竜巻のよって、ベヒーモスとかいうドラゴンはずったずたに引き裂かれた。


「…………」


 唖然、呆然と言った感じのイージス。

 俺はふわりと着地する。


『見ておったぞ主よ』


 離れたとこにいたフェリが近寄ってくる。

 うんうん、と感心したようにうなずいている。


『相変わらず見事な魔法出力だ。さすがは賢者』

「ば、ばかな……おい! そち! 今のはなんじゃ!?」


 イージスが俺に詰め寄ってくる。なんだ、妙にオーバーリアクションじゃ無いか。


「魔法だけど?」

「それは知っておる! 中級風魔法じゃ! それでベヒーモスを倒したのがおかしいと言ってるのじゃ!」

「? おかしいって……」


 それって……。


「あのベヒーモスが弱すぎってこと?」


 するとびきっ、とイージスの額に血管が浮かぶ。

 彼女は顔を真っ赤にして叫ぶ。


「そちが強すぎるということじゃ!!!! よいか、ベヒーモスは魔法を無効化する外皮をもっておったのじゃ」

「え? でも魔法普通に効いたけど?」

「そう! やつの魔法無効の外皮すらも、引き裂いてしまうほどの並外れた魔法力。それが異常だと言っているのじゃ!」


 な、なるほど……魔法が強すぎて、魔法を無効化できなかったのか……。


「なるほど……いやぁ、ありがとうな。教えてくれて。フェリはその辺教えてくれなくて」

『いちいち説明するのも無粋だろう? 主が強い。我が輩の主はすごい。それで十分』


 イージスは俺、そしてフェリを見て……大きくため息をついた。


「……わらわは、とんでもない主についてしまったかもしれぬのじゃ」


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