11.スライムで魔法習得しまくる


 ばあさんの館に戻ってきた。

 今度は館のなかを探索してみる。


 ちょっと気になっていた書斎を訪れる。

 そこにはもう、数え切れないほどの魔導書が並んでいるのだ。

 

俺は世界扉ワールドドアの称号、【異世界のまれびと】がある。

 これは成長速度にプラス補正する。ようするに、なにかを修得スピードがめっちゃ上がるってこと。


 俺の場合は、ただ魔導書をペラペラとめくっていれば、1分も経たずに魔法を修得できる。


「無属性魔法、【分身ダブル】習得……と」


 どうやら文字通り分身を作る魔法らしい。

 無属性ってのは、鑑定で調べたところに寄ると、火や水など属性を持たない魔法ってことなんだとさ。


「しかし……確かに魔導書、結構あるな」


 この部屋の本棚にびっしりと、魔導書が詰め込められてる。

 どんくらいあるのかは不明だが。


「そもそも魔法ってどんくらいあんだろうか……」


 この魔導書の数だけあるとしたら、全部を習得するのは面倒そうだ。

 しかしこの先、異世界で生きるとなると、自衛の手段は持っておきたい。


 そして、身を守るすべは、多ければ多いほどいい。



 俺は足下にいるスライム……暴食王スライム・キングを見やる。


「こいつ使えば結構あっという間かも。暴食王スライム・キング、【分身】」


 俺は無属性魔法【分身】を使う。

 対象の分身を作る魔法だ。


 ぽぽぽーん!


「テイムしたモンスターとは五感と能力が共有されるんだ。だから……おまえら、魔導書を読んでこい」

「「「きゅ、きゅーん♪」」」


 大量に分裂したスライム達が本棚に群がる。

 魔導書を自分で引っこ抜いて、スライムが地面に本を置く。

 

 ぺらぺらぺら……とページをめくっていき……。


風刃ウィンド・エッジを修得しました】


「修得、できた!」



風裂刃ウィンド・ストームを修得しました】【烈風連刃エア・スラストを修得しました】【颶風真空刃ゲイル・スライサーを修得しました】……


 その後も、スライムが魔導書を読むたびに、魔法が修得されていく。

 視覚を共有されているので、スライムが魔導書を読む=俺が読んだと同じ扱いらしい。


「どんどん覚えてくわ」


 あっという間に、魔導書を全部読み切ってしまった。


【全属性魔法を修得しました。条件を満たしました。称号 《賢者》を手に入れました】


 また、新しい称号を手に入れたみたいだ。


 賢者(SSS):全部の属性、等級の魔法を詠唱無しで放つことができる。魔法の威力にプラス補正される。



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