第一刃亜種の舟盛りのような情報量⑤


女性同士の戦闘キャットファイトは見に行こうかと緋走は思った。


今日の店じまいは終わった。店前に一人の男が待っていた。


会津小鋼組あいずこはがねぐみ城島真じょうしままことです」


会津小鋼組あいずこはがねぐみ、京都の幕末の侠客、鬼坂剣吉おにさかけんきちの作った老舗組織、京都府京都市左京区に本部を置く博徒系指定暴力団、その直系たる男が今、新宿に現れたのであった。


「坂本龍馬暗殺事件、凶豎問題でお前に伺いたい事があってきた」


と、彼は開口一番に問いをした。


それに緋走は折角、例の場所で検証した感覚、感性を時期尚早に吐露しないといけない事にうんざりしていた。


「疾風迅雷騒動から数年たったが………漸くその話題に深く突っ込む男がいるとはな、ふーむ、やはり、肝心なのは、やはり、お前らの管轄だったわけか」


それに城島真は冷や汗をかいている。


もしも、この男が、凶豎問題の関係者の血統なら最悪だ、大博打にしても洒落にならない、それによって、緋走へのおそれが変容してしまうのかもしれない。


「厄介な事件を舞い込むのはいつの世もどうしてお前達なのだろうかな………」


亜王堂婆娑羅もどうやら京都で何かあったのが伺える、禊瀬白猿が禊を終わらせる前、京都では、白雷同盟びゃくらいどうめいという自警団があった。


増殖する青少年の非行犯罪、暴走行為、その一部には俗に言う悪魔憑きや鬼の先祖へと先祖還りした者達がいる、そういうのを監視、独自に処罰するのが彼等だった、その白雷同盟の副総長と呼ばれるところにいたのが城島真であった。


白雷同盟と邪瀬魔龍と禊瀬白猿の兄弟とその仲間達、双角連合そうかくれんごうは対立、抗争を繰り広げるのが、本来のあるべき姿であったとされている。


そして、禊瀬白猿は城島真との因縁の相手であると本来、定義されていた。


城島真は緋走と手短に話をする事となった。


「お前の父親は自分の世界観の維持にを割いていた、それによって、世界がどう変わろうが、お前の父親は車やバイクに関わる仕事になる、お前は知識欲に満ち溢れている、様々な世界観、ゲームクリエイターだっけ?それでもまぁいいとは思うが、俺達のシマに対して禍根を張るってのならば、話は別問題になるぜ?」


それに緋走は血肉が踊りだすような感覚、感性に囚われた。


内なる饕餮とうてつが深層意識から表層意識へと浮上しようとしていた。


城島真にはそう感じさせられた。


「そろそろ、生肉が食いたいな…………レアでね、万人は俺の前では等しく捕食ころされるのが宿命なのだ、例え、誰であろうとも、その原則ルールは砕かれないぜ?」


緋走から舌が口外へと出される、太くそして長い、それが伸びていく。


途中、それがへと舌と舌の間が挟まっていった。


蠅魔王舌ベルゼブブトング!!!」


彼が、その異能いのうに目覚めたのはいつだったか。


例えば、少年院や刑務所内では一部の人間は栄養不足、栄養失調になる、平均的な人間が取る栄養素では彼等の熱気、体の熱量、精神安定剤とは生気まで失わせ希死念慮を抱かせるという一説があるらしいが、それとは別に精気が不完全になってしまう。そして、その異能は、人喰い鬼グールに目覚めるのと同様、同質になる。


ドスならば、長ドスならば、ただの一つの刀、剣ならば城島真も対処が可能だった。


それが、今や、不可能になった。


「これが鬼人きじん………、いや魔人まじん!ぐ、ぐわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ」


城島真に怒涛の連続攻撃が飛ぶ、まず、まだ欠けていない左手の小指が削がれた、右の脇腹が削がれた、首の一部が削がれた、口内に相手の舌を入れられて、までディープキスされそうになった瞬間、それについてはその舌の先を食いちぎる事に無意識に成功した、城島真に同性愛の趣味はないからだ。


緋走、もはや、その破格の気量スペックはどこまでも、ややこしいの一言で片付く。



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