第一刃亜種の舟盛りのような情報量④


裏村黒夜の一撃、それも申し分はない。


それを乱打していく、それも執着心が成せる技。


それによって、最強に迫る、どんな場面でもそれは過ってしまう。


謝罪の念もある、ド腐れの方を友達として優先してしまった事。


或いは、地元をとにかく出たいと思わせたのも自分とも思っている。


友達の輪、それは日本において最も尊ばれる和の心であり、同時に思いやりの欠如すら暗示してしまうというとてつもない曲折とした諦念があってしまう。


それでも、殴り続ける。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」


しかし、大噛正矢の想定する一撃、最強に込める思い。グラハム数はギネスブックに載っている「証明に使われた中で最も大きい数」、それに匹敵する意思の力。


或いは不可説不可説転ふかせつふかせつてん、そして、一番大きな数は「不可説不可説転ふかせつふかせつてん」という。 「不可説不可説転」はゼロが37かんと呼ばれる、至高の強さの単位、超極限の喧嘩空手。


それは、意識的だろうと、無意識だろうと真の腑抜けていない漢、悪漢、豆知識を加えれば中将棋や本将棋にある悪狼という言葉があるが、まさにそれである。


「じゃーな、そこら辺の咬ませ犬君………」


覇気すら感じない、邪気すら感じない、


ゆったりとしただらしなさすら感じさせる、


飛縁魔ひのえんままたは縁障女えんしょうじょは、江戸時代の奇談集『絵本百物語』にある日本の妖怪、原典の『絵本百物語』本文によれば、本来の「飛縁魔」とは仏教から出た言葉であり、女犯を戒めるため、さらに女の色香に惑わされた挙句に自らの身を滅ぼしたり家を失ったりすることの愚かさを諭す言葉とされる。飛縁魔は、外見は菩薩のように美しい女性でありながら夜叉のように恐ろしく、この姿に魅入った男の心を迷わせて身を滅ぼし、家を失わせ、ついには命を失うとある。中国でかつて夏の桀王を惑わせて贅沢をしたという妺喜、殷の紂王を堕落させたという妲己、周の幽王の妃でありながら周を滅ぼす元凶となった褒姒といった王の妃たちが、この飛縁魔に例えられている、伝説上においては、彼女らの正体は九尾の狐とされる、


名称は「火の閻魔」、即ち「火炎地獄の裁判官」を意味する。「飛縁魔」の名は「空飛ぶ魔縁」であり、縁、因縁に魔障、悪い障害をもたらす天魔やマーラの暗示でもある。丙午ひのえうま生まれとされる八百屋お七が天和の大火に関連していることから、飛び火して大火事となる「飛炎魔」を意味しているともいう。


丙午生まれの女性は男を食い潰して早死にさせるという言い伝えから創作された妖怪と言われることもある、また、『絵本百物語』本文にあるように、女犯を戒めるため、および女に惑わされて自らの身や国を滅ぼすことのないよう創作された妖怪とされることもある。


昭和・平成以降の妖怪関連の文献では、吸血鬼のように血や精気を吸い取って命を奪う妖怪としているものもある。


燃え上がる鉄拳、それが、ただ、思い切り正しく、右頬を殴り、射貫く。


一撃必殺に限りなく近く、それでいて、裏村黒夜をすっきりさせた。


「…………我狼也われおおかみなり!」


大噛正矢はそうして勝利をしっかり宣言した。


それをリングの裏で見ていた女性二人、百羅零子、そして荒井喜美。


百羅零子の肉体は完全、完璧に近いほど仕上がっている、筋肉質である。


それでいて、服装は三つ編み、丸眼鏡、メイド服の姿を何故かしていた。


本来の異名は狂える白亜の異邦神バーサークホワイトスワンと言えよう。


「まさか、元カレが筋肉娘が性癖だったなんて………人生の攻略情報足らずだよ」


それに荒井喜美はホットパンツに褐色のTシャツをして、彼女にこう話す。


「あいつは生粋の不良なんだよ、余計な事なんか考えるから勘違いするんだよ」

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