幕間一


 このままでは本当に日本と言う国は下降の一途を辿って行く。


 一昨年の開発コンテストも散々な成績だった。近隣の国はもちろん、まだまだITに関して発展途上の国々と言われた東南アジアの国の研究者にさえ、我々が発表したプロジェクトに関して目を細められた。無言のメッセージと時折聞こえてくる溜息に胸が締め付けられていく。


 一体全体日本は何をしてるんだ?

 もうあの国は先進国じゃ無いんだな。


「申し訳ございません」


 私は何度こうやって大臣達に頭を下げて来た。20代の頃は天才と持て囃され、君は国に必要だと言われ国家研究機関のメンバーとして迎えられた。


 だが、蓋を開ければどうだ……。


「利根川くん、私はね別に君の謝罪を聞きに来た訳じゃないんだよ」


「申し訳ございません」


「一体何時になったら、我が国は世界のIT国と呼ばれる様になるのかね」


「申し訳ございません」


「もうね、君の謝罪は聞き飽きたんだよ」


「もっ……申し訳ございません」


「もういい、もういい!?兎に角今年は私を失望させないでくれ、ふんっ。所詮女は……」


バタンッ!?


「手塚!?」


「はい、利根川主任」


「私達で良いアイディア捻り出せないなら、新しいブレインを探すよ」


「はい」


「車を用意して」


「はい」


「他の子も、グズグズしてない。行くよ」


「「「はいっ!?」」」

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