第8話 robot = robota
主任の宣言通り、三が日が終わった途端、また俺達は馬車馬の如く画面と睨めっこをしていた。
もう何度この画面を眺めて居るのだろうか……。初めて見た時の感動と異なり、冬美を動かす為に、俺はひたすらPythonの画面と睨めっこしていた。
元軍用兵器のロックオン・リベレーターの駆動域のみデータをPythonへ移植し、それの余分なデータ削除と修正の繰り返しを行う。全データを開くと当然把握仕切れない事も有り、各パーツ毎のプログラムファイルを副主任の手塚さんがチャプター毎にフォルダ分けをし、それを各担当へと割り振る感じで僕等は対応に当たっていた。
当初よりも人数が増え、現在プログラマーだけで50名近くとなって行われている。5名のグループもあれば、10名のグループも有る。
増えたと言っても、まだまだ正直足らない。だからと言って、いい加減な人材を入れるわけにはいかないので、新たに加わったメンバーは当然少数となる。
その中には今年入学したある後輩が居るのだが、幼稚園の頃から親の影響でプログラミングを始めたと言う強者も居る。
幼稚園の頃からって、物凄くジェネレーションギャップを感じる(汗)
一般的でも三年も年の差が有ると、世代の違いは大きい。
例えばだけど、高1の時に、中1の人との会話が宇宙語に聞こえるのと同じだ。
因みに確か狂矢は、小学5年生の頃からプログラムを始めたらしく、幼稚園は異常と奴自体も驚いて居た。まあ、俺にとって狂矢も十分異常だと思う。
しかしその新人の場合はとにかく別格で、既に素体は有るものを使用していたものの、命令プログラムを実際のロボットへ自分でインプットし、そのロボットを小学生の頃動かして遊んで居たというのだ。
狂矢は『そんなん、何処ぞの金持ちの坊ちゃんしかできへんわ』ってぼやいていたが、負け惜しみにしか聞こえなくて、何となく哀れに感じてしまった。
そうは言う俺の場合だが、自分が幼稚園の頃と言ったらもっと空しい。
TAMAYA の工作シリーズでムカデとか音センのロボットとか、クローラを組んだくらいしかない。電池でモーターの動く範囲でしか動かない程度の物ばかりしか経験が無いのだ。まあ、ガキの頃にこういう将来を描いていなかったからな。
将来は戦隊者の誰それみたいになるって、あの時は言ってたけ(汗)
工作全盛期は小学生の頃で、でもタカタマサのゾーイシリーズでライガーを7才の時1人で組み立てた位しか自慢出来ないし。小学2年でライガー1人ってだけでも神童って一応その当時は持て囃されたんだけどな。
あっ、でもそれを冬美は幼稚園で僅か15分で破壊したん
だった。で、アイツも皆んなから有る意味破壊の神童って言われてたっけ(汗)
お年玉で買ったシールドライガーは僅か5日間の命、セミよりも寿命短かっ!?
因みにその彼、
待て待て、名前の入力って英語に直したらinputじゃん、もう親は将来彼をプログラマーにさせる気満々だったんだな。まあ、今回見事ウチのチームに参加となったから、将来は安泰では有るんだけど。
でも、俺達のチームの始まりと違って、今回の参加者がチームに入るには、当初には無い試験をクリアしなくては行けなかったらしく、主任にテストのURLを送って貰ったが、今の俺のレベルでは及第点も取るのが難しいものだった。
しかも、テストはよりによって何とクリスマスイヴに行われたらしい。話によると、恋人が居る人で試験が理由で別れた人も居るんだとか。そしてよりによって合格者は元々ボッチのグループのみ。恋人とも別れて試験にも不合格、何たる皮肉な世の中。
テスト内容は、プログラムを1時間以内に構築する創造問題と知識問題10分の形70分、そんな無茶なって思ったけど、今回合格された皆様はそれぞれの独自のプログラムを構築し、研究員の方々に認めらて此処に居る。加古川君もその1人だ。
もしも、テストがウンチク系なら俺も合格してたのに!
例えば、今回出た問3とかは、ロボット好きなら皆んな知ってる。
問題:ロボットとは元々( )語のrobotaから来ており、その意味は( )である。
答えは"スラブ"語で、意味は"召使い"から来てる。
問5は、正直ロボット工学勉強しないと知らない人は知らないかもしれない、まあ難しく無いけど。
問題:ロボット工学の分野は大きく分けて、オペレーターインターフェース、( )、エフェクタ、プログラミングそして( )に分類されます。
答えは、"ロコモーション"、"知覚"だ。
ちな、ロコモーションって言うのは運動能力の事な。ロボットは動作してなんぼだから、ヒューマン型なら、人間と同じ運動が出来なくてはいけない。その運動について学ぶ分野がロコモーションになる。
でも、ウンチク問題は全体の3割、プログラミング問題はもちろんボロボロ。結果を見た手塚さんは無精髭を撫でると、『気にする事は無い、君はうちのスティーブ・ジョブズだ白川くん』と言うと俺の肩をポンポンと叩いてラボへと消えてしまった。
スティーブ・ジョブズと聴いて、何か嬉しくなったが、後で調べたら知識は無いがプレゼンの天才と言う言葉を知って少しだけ複雑になったのは言うまでも無いだろう。
to be continue ・・・・・・the younger sister plus
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