第5話 「初期のあのロマンシングなゲームは、変態だよ。バグがひどかった。値段も、高かった!金、返せ!」同じように怒りたくなる人、いますか?

 「マジか…。これって、現実なのか?むしろ、ファンタジーっぽい」

 彼女のママに渡された剣は、さやに入っていて、重かった。

 「あなた、かわいいのねえ。娘も私も喜ばせる勇者に、おなりなさいね?」

 「…ふぁっ!」

 「ガガ君?握っていてくれない?」

 「…え、何?リアムちゃんまで?」

 「ガガ君って、勇者様みたい!」

 「リ、リアムちゃん?」

 「なあに?」

 「この剣、本物じゃないよね?」

 「まさかあ!レプリカ、だよ」

 …だよね。

 「さあ!娘と私からの、もう 1つのプレゼントですわ」

 ママは、炊飯器が入るくらいの大きさの小包を、抱えていた。

 「さ、さすが、宅配物を扱う組織の社長?」

 「ほら、あなた?あげるわ♥」

 「…え?」

 「あら?年増な女は、いや?私を見つめてくれたお礼に、チュッ♥」

 「ああ…ママ!」

 「うん…むむむ」

 キスを、してしまった。

 今度は、リアムちゃんのほうにも、やってあげなくっちゃな。

 「なんてったって、俺たちの世代は、皆で仲良く、ゴールイン!」

 「ほうら♥!」

 ママが、小包を、俺に押し付けてきた。小包の中から、音が聞こえてきた。

 「コチ、コチ…」

 …はて?

 「ガガ君?ちょっとした、バグの音よ?気にしないで?ねえ、お母さん?」

 「そうよう」

 「…バグ?」

 「あなたは…?」

 「何すか、リアムちゃんのママ?」

 「ガガ君?ロマンシングって、知っているよね?」

 「…ロマンシング!」

 俺は、びびったさ。だって、俺のあだ名がロマンシングっていうことは、 2人には、言っていなかったんだから。

 まいっちんぐ!

 「ねえ、ガガ君?」

 「リ、リアムちゃん?」

 「母が、学生時代に、ロマンシング何とかっていう名前のゲームを買ったのね?」

 「…ロ、ロマンシング!」

 「初期のそのゲームは、バグが、ひどかったそうよ?」

 「…」

 「ロマンシングのバグの連続に、母は、怒りまくりだったそうです」

 「…」

 「ねえ、お母さん?」

 「私ったら、学生時代に、ロマンシングを爆破したくなっちゃった!」

 「…」

 「聞いた、ガガ君…ほらあ、ガガ君?私たちのどちらを、選ぶの?」

 「…ちょ?」

 エッチなそよ風が、通り抜けた。






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