第4話 「声を荒げる」も、いやらしいな。特に、今どき世代の人?「声を荒げる」は、「声をあらげる」じゃなく、「声をあららげる」って読むんですよ。

  彼女の言った、「声をあららげる」にも、驚いた。

 知らなかったよ。

 「声を荒げる」

 それって、「あらげる」じゃなくて、「あららげる」って、読むらしいな。

 俺も友達は、ほぼほぼ、「あらげる」って言っていた。

 彼女は、たくさんのことを知っていた。

 「俺の、パパってえ…」

 「私の、ママってえ…」

 「僕のお父さんは…。お母さんは…」

 「僕のおじいちゃんは…。おばあちゃんは…」

 人前で、そういう言い方をしている芸能人は、TV番組やネットで、フツーに見るがな。ああいう言い方って、常識に欠けて、幼稚だったのか。

 知らなかったぜ。

 「言っている本人は、幼稚とは、思っていないんでしょうけれどね?」

 彼女は、あきれていたよ。

 「ガガ君?」

 「え、俺のこと?」

 「うちに、遊びにきませんか?」

 そうだった。俺は、マッチングアプリに、ガガという名前で入力していたんだ。アプリ交際は、ウソも多くなる。

 「こんにちは」

 すげえ…。

 マンションの10階にある一室に、案内された。

 「あら、いらっしゃい。リアムからも、うかがっておりますよ?」

 彼女のママは、色っぽい女性だった。

 ちっこい犬まで、出迎えてくれた。

 「リアムちゃんのママって、女優さんみたいだな…。きれいな人、だな」

 彼女のママに、名刺を差し出された。就活のようで、笑えてきてしまった。

 が、笑えない!

 「え、ええ?ええ?」

 その、彼女のママが、入社先の、宅配物組織の社長らしい。

 「ああ、俺は、こんなにも色っぽい女性の元で、働けるのかあ…」

 すっかり、彼女のママのことも、好きになってしまった。

 「さすがは、親子?」

  2人で違っていたのは、髪型。ママは、ショート。彼女は、ロングヘアー。

 「2人とも、かわいいよ…」

 ゆとり病に、かかっていた。

 「え、え?うそだろ!」

 「ごめんなさいね?ちょっと、暑くて。こんな私を、どう思うのかしら?」

 彼女のママが、服を、脱ぎはじめちゃったぞ。

 「マジか!」

 こういうのを、理想郷っていうのか?

 理想郷…、ユートピア?

 「ねえ…ガガ君?」

 「うわ!」

 彼女が、俺の手を、にぎってきた。

 「…ほら、あなた?」

 彼女のママまで、俺の手を、にぎってきたぞ。

 ちょ、ちょ!

 ママ!

 下着、下着!ずれてます!ちょっと、見えちゃっています!

 「…ねえ、あなた?娘と私からのプレゼントは、いかが?」

 俺の背丈ほどもある大剣を、渡された。

 「…え?」






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