『みんなと』

幕間②

 ――今日も平和なチョロん島。


 もぐん太とチョロ助が外へと遊びに行っているあいだ、ポムりんはお家の中でひとり本を読んで、お勉強をしていました。


「むむむ…」


『どうしたんだい、ポムりん』


「あ、アルマジロお兄さん」


 そう言って窓から顔を出すのは、困った時にポムりんたちにアドバイスをしてくれる優しいアルマジロお兄さん。


「今日は、別に工作したいとか家電かでんが壊れたとか無いから」


 断るポムりんに魚や虫などを捕まえるあみを持ったお兄さんは『では、何に困っているのかな?』と窓から身を乗り出しながら首をかしげます。


 そこに「ん、話が早い。これなんだけど」と読んでいた本をみせるポムりん。


 開いた本にはポコポコと文字に空きがあり、ところどころ何かが通ったあとのようにゆがんだ部分もあります。


『おやおや、情報が大好きな【情報虫じょうほうむし】に食われてしまっているじゃあ無いか』


 不法侵入ふほうしんにゅうをしてくる理解りかいの早いお兄さんに「で、どうすんのよ」と、タメ口になるポムりん。


『この虫はICチップに搭載とうさいされたデータから、こういった本の情報まで何でも食べてしまうからね。困っているのはこちらも同じなのさ』


「あー…先日も地上にデバイスを持ち込んだ時に画像データが流出りゅうしゅつしたうえに、打つ手がなかったと」 


 お兄さんの記憶を読んだポムりんに『いや、まあ。そういうこともあったが』と、急にに戻って狼狽ろうばいするお兄さん。


『ともかく問題は、虫がこの本だけじゃあなく他の場所にもたくさんいたら大変なことになると言うことなんだ』


「大変、ああ…なるほど」


 ついで、ピンッ、ピンッと、家の中を飛ぶ虫のような物体。

 

 ――それはアルファベットの単語たんごやひらがな、カタカナの一文字たちであり、まるで生き物のようになった文字たちはしきりに床から離れるように飛んでいきます。


「彼らも所詮しょせんでしかないわけで、当然それを食べる奴もいると」


 ついで、床が揺れ動いたかと思うと、何千もの魚の群れがポムりんたちの足元から飛び出してきたのでした。

 

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