『ボクらは』

幕間①

「ねえ、ベル。みてみて!変なお花を見つけたの」


「こいつ、面白い奴だがー」


 ぽかぽか陽気のお花畑。

 チョロ助ともぐん太は、お友達であるかね妖精ようせいベルに話しかけます。


『んー、どうしたのお?』


 チリリンという音を鳴らしながら、チョロ助のまわりを飛ぶベル。


 それにチョロ助は「このお花ね、お話しすると言葉を覚えてくれるんだよ」と言うなり、近くにあるラッパ型の花へと口を近づけます。


「こーんにちわー」


 しばらくして。


『こーんにちわー』


 チョロ助とまったく同じ声が、花の中から聞こえてきました。


「ね、おもしろいでしょ?で、これをもぐん太と一緒にすると」


「するが?」


 同時に二人は顔をよせ合い「こーんにちわー」「こーんにちがー」と一声ひとこえ


 とたんに花の中からは『ここぉーんんにぃちわーがああぁー」と二人分の声が混じり合った、よくわからない返事がし、それを聞いた二人はお腹を抱えてゲラゲラと笑い転げます。


「ねー、変なのお」


「たしかにそうだがー。なんで、こーなるがー?」


『よかったわねえー』


 そんなのんきな返答をするベルでしたが、ふいにチリリンと音がなると『あ!二人とも、もうお昼の時間よ』と声をかけます。


『できたての料理と一緒にポムりんがお家で待っているわ。早く帰らないとね』


 それに「あー、帰らないと怒るもんねえ」としぶしぶチョロ助。


「ふーむ、じゃあ帰るがあ」と、嫌そうな顔をするもぐん太。


 ですが、チョロ助はまだ帰りたくないらしく「でも、これ。おもしろいよ」と続け「ポムりんにも持っていってあげようかな?」と近くの花に手を伸ばします。


「そうだがー、今んで持っていくのもありかもがー?」


 もぐん太もそれにうなずき手をやりますが、ちょっと引っぱるなり花の先からボコボコと広くつながった根が顔を出します。


 その根っこは花畑をいきおい良くめくり、近くのしげみをひっくりかえし、あまつさえ数本の木までもバタバタとなぎ倒していきました。


「うひゃあ、やべえが。まるで地面に埋まったあみみたいだがあ!」


 その様子に、思わず手をはなすもぐん太。


 すると、そのひょうしに根も茂みも木々でさえも地面にパタパタと戻っていき、間もなく何事もなかったかのようにあたりは元のお花畑へと戻りました。


「…びっくりしたあ」とチョロ助。


 ついでに、お腹のあたりがグウと鳴ります。


「びっくりついでに、お腹がすいちゃったよ」


 チョロ助はもぐん太に目をやり、ひとこと。


「帰る?」


「帰るが?」


『そうしましょう』


 それにうなずく、二体と一機。


 こうして、しゃべる花をそのままに鐘の音でモーター音を誤魔化ごまかすドローンと一緒いっしょにチョロ助ともぐん太は住み慣れたが家へと帰っていったのでした。

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