第三章 旅立ち アルカディア大陸歴1997年

第23話 カール・クリス 8歳① 騎士見習い幼等学校。

兄、マルスが王都へと旅たち一年が経った。


季節は一回りした。

僕は、8歳の誕生日を迎えた。


新たに、王都に新設された騎士見習い幼等学校。

兄の様な若き才能を一早く見つけるために

国の貴族たちが設立した。

貴族、平民を問わず才さえあれば受け入れる。


そう、今までの騎士学校は貴族しか入学する事ができなかった。

それゆえに、大きな問題が起きたのだ。

圧倒的、人材不足。

貴族たちはそれに頭を抱えていた。

貴族上がりの騎士はプライドが高く、能力不足が否めない。

要するに、実力がないお飾り騎士だらけになってしまったのだ。

実力のある冒険者達から騎士に取り上げられる者もいるが

それは、ほんの少数だ。

自由を代価にして騎士に自らなりたいと申し出る冒険者など

家庭を持ち、安定した収入を望む冒険者ぐらいしかいないのだ。


マルス兄さんは15歳と言う若さで騎士になった。

若き才能は、早いうちに唾をつけておきたい。

そういった大人貴族たちの強い思惑もあるのだろう。


だが、平民にも平等に成り上がるチャンスがある事は

良い事だとも思える。

問題は、必ず起きるだろうが……。


僕は、色々考え事をしながら荷支度を済ます。

貴族は一人だけ従者を連れて行っていい事になっている。

もちろん、ラビを連れていく。


「ラビ、準備は終わったかい?」


「はい、クリス様。」


「それでは、行こうか……。」



エントランスホールには、既に父と母。

妹と使用人たちが勢ぞろいしていた。


「準備に手間取っておりました。では、行ってまいります。」


「ああ、クリス。あっちでマルスとデントにもよろしくと伝えておいてくれ」

王都には、騎士のマルス兄さんと魔法学校に在学しているデント兄さんがいる。

デント兄さんが、通う魔法学校でも去年から平民も受け入れを始めたらしい。

新たに、魔工科という魔法具を専門に扱う学科も新設された。


「では、父上。母上。―――マリア。それと使用人の皆。」

僕は、襟首を正しながら言う。

「必死に学び、鍛錬を怠ることなく、立派に成長してまいります。」

そう、言うと母と妹は涙をながしながら俯く。

「ええ、まだ子供だと思っていましたが、立派です。」

母は笑顔を浮かべる。

「クリスにぃ、マリア寂しい……。」

5歳になり喋り方がうまくなったマリアは目を真っ赤に腫らしている。

「マリア……。大丈夫。休みの日には戻って来るよ。」


「ほんと?」


「ああ、マリアが好きなお土産を買って戻って来るね。」


「わぁ~お土産!楽しみにしてるね!」

マリアは、笑顔になってくれた。


「それでは、行ってきます。」


僕は、皆を背に屋敷を出ていく―――


その後ろを、従者のラビが付いてくる。


新たな旅たちだ―――。


学校ではどんな事が待っているのだろうか……。

僕は、期待で胸がいっぱいになった。


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名前:カール・クリス 8歳 レベル:15

カール伯爵家の三男。

従者:ラビ レベル:40 


タレント:言語理解『中』マナの操作『上』、マナの蓄積∞、鑑定眼『中』

※魔物から得られる経験値が半分になるようだ。

スキル:全属性魔法習得可能。

炎魔法、風魔法、水魔法、土魔法、雷魔法

闇魔法、光魔法『全て中ランク』無属性魔法『上』


経験値2倍、筋力超上昇、遮断、隠蔽『上』、念話、共有、マッピング

エクストラスキル:知覚の糸パーセプションストリング変化チェンジ魔法創造クリエイトマジック

ソードスキル:見切り


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・遮断スキル

相手から自分の情報を遮断するスキル。

混乱や、洗脳を受けずに済む。

鑑定されるのを阻止したりすることができる。

心の声なども遮断できる。


・隠蔽スキル

自身の情報を書き換える。誤魔化す事ができる。

クリスの場合は、マナを操作して魔法を使う事ができるが

あえて使えないように見せて隠蔽している。


・念話スキル

知覚する糸を使って、繋がっている相手と言葉を使わず

コミュニケーションがとれる。

遮断がなければ、思った事も筒抜ける。


・共有スキル

知覚する糸を使って繋がっている相手に、自身の能力を分け与える。

力を与える事ができる。


・マッピングスキル

知覚する糸は目を閉じないと使用できなかったのを改善したもの

張り巡らせた糸で建物の構造を把握したものを可視化できるようになった。


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