【処女作】人喰い少女

第7話 メイド道

「やっぱりお母さんが作るご飯は美味しい！」

「いつ、来てもスカイのお母様が作るご飯は大変に絶品です！」

「あらあら、そう言ってもらえると嬉しいわ」

　スカイとマヤはスカイの母親の手料理を美味しそうに食べていた。

(はぁ、私何やってんだろう……)

　心の中でそう思いながら、先ほどの出来事を思い返していた。

「それで、その子をどうするのスカイ？」

「そうだね……、どうしよっかな～……、あっ！　そうだ！！」

　マヤは私に治療をしながらスカイにそんなことを聞いた。

「──うーん……」

　スカイは腕を組んで考える。

「そうだ！　あなた、私のメイドになりなさい！　拒否するのは無しねっ！　てか、あなたに拒否権なんてないんだからっ！！」

「あは、あははあはは……はぁ」

「メーア、ため息なんてついてどうしたの？　早く食べようようっ！」

　スカイはのんきにもそんなことを私に対し口走る。

(こっちもつきたくてしてるわけじゃないのに、誰のせいでため息をついてると思ってるのかしら……)

　心の中でそんなことを呟きながらも、スカイのおかげで、少し強くなれたことを嬉しく思っていた。

◆

「ほらほら、しっかりやる！！　そんなんじゃ、極悪非道冷酷無慈悲の筋肉もりもり超絶完全完璧ハイスペック美少女メイドになれないよっ！！」

「はっ、はいーー！！」

(なっ、なんでーーー！！)

　今日からメーアはスカイいや、スカイ様の専属メイドとして働くため、朝早くからスカイ様のお母様にメイドのご指導を受けていた。

　その様子をスカイは、頭に茶色いカチューシャ、毛糸で編まれた赤い服にブラウンのショートパンツを身に着け、棒付きキャンディーを口に咥えながら、家で飼っている牛のミルクの頭を撫で、柵に座りその様子を見守っている。

(あーあ、お母さんって元王宮の護衛兼メイドとして働いてたから、スイッチが入っちゃうと、もう止められないんだよね～。まあ、ガンバレ〜メーア)

　まるで他人事の様に心の中で呟いていた。

　すると──

　ヒュウゥゥゥーーン

　突然風が吹き、一人の少女がスカイの横に立っていた。

「うんっ？　来たんだね～、マヤ」

　スカイはいつも通りといった様子で、マヤにそう言う。

「やっぱり、スカイにはバレちゃうのね。こっそり来たつもりだったんだけど……」

「何だろうね～、野生の勘……かな？」

「ふふっ、そういうところ──スカイらしいわ」

「そうかな～？」

　そんな他愛もない会話をする二人だが──

「あの子、かわいそうね。スカイに利用されてるとも知らないで」

　突然、マヤは声色を鋭いものに変えた。

「マヤも人の事言えないくせに」

「あらあら、私はスカイみたいに利用しようとなんて思ってないわよ。強いて言うなら、あの子を名一杯いたぶって、これ以上ないくらいの絶望を与えてから、ゆっくりと優雅に楽しみながら、美味しく味わいたい……それくらいのことしか考えて無いわ」

「それ、私よりヒドイじゃん。まあ、どの道食べ頃になったら、私が食べるんだけどね。絶対に取らないでよね！！」

「ふふっ、分かっているわよスカイ。いいえ、紅き雫さん？」

「その異名、あまり好きじゃない」

「あら私は好きよ。この二つ名」

　こちらにメーアが走って来るの見て、二人は一旦話を切り上げた。

「ス……スカイ……様……、ハァ、ハァ──」

　メーアは息を切らしながら何か私に言おうとしていた。

「メーア、お母さんの特訓どうだった！？」

　そう心配そうを装いつむ、スカイはメーアの腹に向かって拳を入れた……が、間一髪でメーアは避けた。

「ちょっとーー、スカイ様！？　もし私が避けられなかったら、私、死んでますよー！！」

「さっすが、お母さん！　ちゃんと鍛えてる！！」

　スカイはメーアの話を無視して、マリアにキメ顔で“グッジョブ”と親指を立てる。

　マリアもスカイに対してキメ顔をしながら

“グッジョブ”と親指を立てていた。

　親子が共にシンクロする瞬間であった！！

「何もグッジョブじゃないです～～！！」

メーアは泣き顔で両手を上下に振りながらそう言った。