02 開かずの教室
とある大きな学校があった。
その学校は、裕福な家の子供がたくさん通っている学校だ。
お金をかけて建てられた校舎には様々な設備があるため、他の学校よりも学びの機会を多く得る事ができた。
しかし、そんな学校には開かずの教室がある。
何年も使われていないどころか、開けられたこともない部屋だ。
扉はしっかりと施錠されていて、立ち入り禁止の貼り紙もされている。
だから、その学校に通う生徒達は、誰もが不思議に思っていた。
「どうしてあの教室はずっと開かずの教室なんだろう」と。
そんな風に思われていたため、興味を抱く生徒が毎年必ず一人はいた。
けれど、そんな生徒が開かずの教室に入れた事は一度もない。
なぜなら、教室の扉は絶えず監視カメラで見張られていたからだ。
だから、停電が起きなければずっと誰かが入る事はなかっただろう。
停電のさなか。
「噂の開かずの教室の中を確かめてみよう」
針金をもったとある男子生徒が、その教室の扉を開けようとしていた。
その男子生徒は、前からその教室に興味をもっていたため、停電が起きたのを逃すはずがなかった。
器用に針金を使って鍵を開けた男子生徒は、開かずの扉を開け放った。
薄暗い部屋の中、そこにあったのは。
お金持ちの子供達が失くした、筆箱や財布や小物などだった。
それら一つ一つには、日付と持ち主の名前が書いてあった。
男子生徒は、なぜ落し物や失くし物がここにあるのだろうと訝しんだ。
目の前にある一つの筆箱は男子生徒のクラスメイトの物。
一週間前からずっと探している品物だったため、なおさらそう思った。
そんな男子生徒の背後で、扉が閉まる。
室内には、二人分の人の気配。
ジジジ、と虫の鳴き声をのような音が響く。
「君は特待生で奨学金を受け取りながら授業を受けてるから、すぐに理由が分かると思ったんだけどね」
声の主は、部屋の奥に向かい、十年前に卒業した生徒の品物、大きなブランドバッグを手にした。
「そろそろ奥の方にあるものを換金しなくちゃいけないな」
男子生徒はその瞬間気がついた。
そこにあるものは皆、ブランド物ばかりだという事に。
そして、声の主の手元が、小さな電気の光で光っている事に。
スタンガンだ。
そう思った直後、バチっという音が響いて、男子生徒は倒れた。
その数日後。
その部屋から大きなブランド物のバッグが運び出されていった。
それはお金になり、一人の財布を十分に潤した。
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