6 第六話
「アンタたち、どこ行って……って君は……」
男二人に連れられて行きついた場所。そこは街外れの小屋だった。
いやそれはまだ良いとして、そこにいた少女の方に驚いた。
「貴方はこの前の……」
この街に来た時に俺を助けてくれたあの少女だったのだ。
「ここのギルド専属冒険者になったってのは聞いていたけど、こんなにも早く順応するとは……流石は高ランクの冒険者様ね」
「その、高ランクと言うのは少し……」
「違うのか?」
「おう、違うのか?」
うーん、男二人の圧が凄い。下手な事を言えば今ここで潰されそうな程だ。
よし、ひとまず話を合わせるとしよう。
「今日は依頼を終えて戻ってきたところでして」
「そうなの? ターゲットは何? フレイムドラゴン? それとも最近有名なプライムウルフ?」
おお、どれもこれも危険度の高い魔物ばかり。期待が重い……。
「いえ、今日はアイアンアントを……」
「え、あのDランクの?」
不味い、危険度が低すぎたか?
「きょ、今日は少し調子が良く無くてですね」
「ああそういうことか。無理は良くないからな。いかに優秀な冒険者であっても病魔には勝てんし、そのまま魔物と相対しても本当の力は出んだろうさ」
どうやら納得してくれたようだ。良かった。
「それで、何故ここに?」
「あ、ああそうでした。そこのお二方にお願いされまして……」
「そうだったぜ。それが本題だった。これまで師匠がこの町一番の魔法使いだった中、この方はそれ以上だというからな。師匠をさらなる高みへ連れて行ってくれるんじゃないかと思って連れてきやした」
「そうだったのか。いやあ私の弟子たちが急にすまなかったね」
「いえ大丈夫です全然」
最初は怖いし恐ろしかったが、聞けば師匠思いの良い奴らじゃないか。
人は見た目によらないってやつか。
「じゃあ早速教えて貰おうかな」
「えぇっ!?」
「なんて冗談さ。君、今日は調子が良くないんだろう? またの機会にお願いするよ。あ、そうだうっかりしていた。私はメアリーだ。よろしく」
「俺はアルバートです。そ、それではまた今度!」
とりあえず今日はそのまま解散することになった。
さてどうしようか。俺には彼女に教えられるものが無い……。
魔力量も魔法自体も俺がどうこう出来るものなんて……よし、それはその時考えよう。
今日はさっさと依頼達成の報告をして家へ帰ろう。
俺はそのままの足でギルドへ行き依頼の達成報告を行った。
アイアンアントの達成報酬に専属契約の上乗せ分が合わさってかなりの量だ。
これだけあればしばらくは不自由なく暮らせるだろう。宿代が必要無いのも嬉しい所だ。
となれば後は……魔法に関してか。
色々と調べてみるしか無いな……。突き詰めて行けば、もしかしたら何かしらはメアリーに教えられるかもしれないし。
それが出来なければ……素直に謝ろうそうしよう。謝るのは慣れているしな。
「……はぁ」
ベッドに寝転がり、天井を見つめながら今日起こったことを思い出す。
思えば今日一日で本当に色々なことがあった。
死んだかと思えば俺だけ何故か生きているし、なんか力も魔力もけた違いになっているし。
こんなに良い家貰って、今こうしてフカフカのベッドで寝られている。
どれもこれも、今までの生活からは考えられない。
だけど、なぜこうなったのかも今の俺にはわからない。
……とにかく情報が必要だ。
少しでも多くの情報を得て、元の世界に……そしてアイツらを……。
「あぁ、なんだか凄く疲れたな……眠い……」
意識が朦朧としてきた。もう寝よう……。
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