第10話 第2ゲーム

「よっと」


 下院とアギトはなんとか大蛇をのした後、中から出てきたグラサンに背中から胸部にかけてもんもんの入った。いかにもらしい男が出てきたため、とりあえず船の近くに警察車両なんかが見えてきたこともあり、一度歩く急足でその場を離れ、人気のない場所で適当な電柱に元大蛇を縛り付け、アイは自販機でコーラを一本買うと爽快な香りと炭酸を口いっぱいに含み、痛みという爽快感を脳の奥の奥の奥の奥まで染み込ませながらあっという間に飲み切ってしまう。


「祝杯だな。」


 そう一言からになったペットボトルを見ながら呟く。

 そんなこんなで1日ぶりに見る縛り付けられた男を見張りながら待っていると、向こうのほうから船に置いてきたバック等を回収してきたアギトが走ってくる。


「ダンナー!ありましたぜぇ!」


 どうやら先ほどの騒ぎを聞きつけて集まってた警察官らの合間をかけず周り、なんとか貴重な金なんかを入れたバックと今現在俺のが壊れているため一つしかないのに投げ捨てたらしい携帯を持ってきてくれた。

 ちなみに携帯を投げ捨てて、無くしたことを言ってきた時、俺はあいつの右頬をビンタした。

 正直この状況でこれらのものが無くなるのは痛いどころか重症のため無事、見つけ出してくれて助かった。


「中身は?」


「しっかりと!大体は無事でしたぜ!」


 アイはニコニコとカバンの中のものが無事なのことを見せるようにどこぞの22世紀ロボットのようにとりだしている様子を見ると、先ほどの雰囲気からは完全にかけ離れていて、どこか軽く信じられないものを見るような目でアギトのことを見ていた。


「お前、スイッチ切り替え早くね?」

 するとアギトは少し、こいつは何を言っとるんだという顔をするが、すぐにアイの言いたいことを読み取ると口を開く。


「そりゃ、ダンナからしたら一生に一度あるかないかの大一番だったでしょうけどワシからすれば普段からあんなんですからねぇ、まぁ、慣れちったってやつですよハハハハハ!」


 と、さらっと言い切ってしまう。

 そんな様子にそんなアギトの言葉にアイは何処か驚きやなどよりも少し、ほんの少しこいつは自分の今まで生きてきた世界とは全く違う場所で生きてきたのだなと言う距離のような、溝のような深く入り込めない何かがあるように感じるが、その事をわざわざコイツに対して口に出すのは違うだろうと自己完結したアイは、その話題をそこで終わらせた。

 そして次に出てきたのは、元大蛇についてである。


「なぁ、アギト?今までこう言う事態になったらどうしてた?」


「基本は放置だな」

「仮面もない状態でチャカとドスで仮面持ちに襲いかかってくる馬鹿なんぞ居んかったからなぁ、まぁこのままさっさと行くのもありだとは思うが・・・・まぁ、この状況ならなしだな」


 ただでさえ情報が少ない今、どんなくだらない二束三文の情報だろうとも今の我々にはどう作用するかわからんこの状況で、みすみす放置はない。悪いが、持ってるだけの情報は吐いてもらわにゃ困る。


「ゲームクリアぁ・・・・。」


 ボソリとそう聞こえる。ハッと声の方向を振り返ると、声の主は誰でもなく縄で縛りつけにされた大蛇であった。


「おい!起きやがったか!」


 起き上がった瞬間、すぐにアギトが狂犬のように首元を掴み掛かるが、大蛇の方は少し、ニヤリと笑ってはいるものの、少しも動じず、口を閉じない。


「クリア特典・・・・・情報提供・・・・・。」


「ちょい待て、アギト、コイツなんか喋ってんぞ?」


 アギトはアイのその言葉に反応したか、大蛇の方を見る大蛇にかけられた縄はキツく、しっかりと結んである。刃物なんかを隠し持っていないことも確認済みだ。一度様子見しても問題はないだろうと、一度つかみかかっていた手を離し、後ろに下がる。

 喋っている大蛇の様子はどこか死んだ目をしており、虚ろいでいて、心ここに在らずそのものの様な封印機があった。


「これより、行われるは九つの試練」

「対象。下院アイその人貴様を試す挽歌なり」

「向かうは水上逆巻下落ちした、翼溶ける方向になりて、あるんは外気の大地」

「待ち構えるは太古の狩人と天空に潜む悪魔共」

「第2ゲームよ阿呆はヒトにその命を名乗れ名乗れ」


 その瞬間、アイとアギトの下に赤い何か影のようなものが広がり、現れる。


「なっ!」「しまった!」


 そんな時、何処からか3人以外の何者かの声が聞こえる。


「目0℃区seェ無1-1」


 二人はその声が誰による者なのか少しの知る余裕もなく、その赤い穴の中へと誘われる。



 二人がどこかへと消えた後、ゆっくりと2メートルほどの高さに先ほどの二倍ほどの大きさの穴が開き、そこから何かバッタをベースにそこにムカデとゲジゲジとトンボとカマキリにてんとう虫にマイマイかぶりを組み合わせ、全身に毛虫が這いずり回った何かが現れる。



 ソイツは首をぐビュルんと回すと、大蛇の方を振り向き、大蛇の首元に厚さ数ミリにも満たず、赤く光る穴、いやゲートとでも言えばいいのだろう。それが開く。


「ソ異2をト次re刃=狗毘ふ🌲戸賦是=🐍」

「⭕️鋸酢koす子🚪派輪AL下¿」


 音で聞かねばわからん言葉を話すソイツは最後に一言言う事を許す。

 大蛇は少し「くひひ」と先ほどとは違う、生きた笑いを浮かべると、舌を出し心の底から嘲りながらたった一言だけを言い残す。

 つい先程までうさぎ扱いだった人間二匹の姿を小汚く浮かべながら串口を開く。


「仕事でミスったんだ、恨みゃねぇがよぉ」

「地獄で待ってるぜ、壊し屋どもぉ!!」


「一1BA余=🐍→)」


 静かに、体が少しばかり、びくりびくりと震え、そして静かになっていった。ソイツは何を考えていたかなどわからない。強いて一言言うならば、いい目は見れたのではないだろうか、退屈で時間のないこの世では、マシな方に。



 穴に落ちたアイは何処かのおそらくは人工の床に落ちてくる。高さはそこまでなく、たいした怪我もなくすみ、ほっと一息つくと、すぐに周囲を見渡す。すると、近くに頭から地面に突っ込んだ状態で足がガニ股になっているアギトを見つける。とりあえず、面倒くさいし、死んではいないだろうと無情にもほっといて、それ以外に何かないかと、再び辺りを見渡すと天井も横の壁と壁の間がどちららもどうも、幅が狭い。天井などアギトが立てばくっついてしまうやもしれん。しかし、そんなものがどうでも良くなるような光景がアイの視界には広がっていた。


「歪んでんな」


 おそらくは元は椅子なのだろう。いや、どちらかといえば座席という方が正しいのが、そこに数百席ほどぐちゃりとねじ切れ曲がり、溶解し、破損し、結合し、そこで渦を巻いて壁一面に張り付いていた。

 そんな歪な光景を見終わった頃だろうか、背後から風が流れてきていることに気がつく。アイは、風の吹いてくる方を見てみると穴が空いていた。

 ただ、穴が開いているわけじゃない。穴の中からは快晴の青い空が見え、その広さに目が沈みそうになる程だ、そしてアイは穴に近づき、細心の注意を払いなが穴の外を覗き込む。


「ちくしょう、今度は空かよ・・・・ハハっ・・・」


 ズタズタの飛行機。それがまるでお互いの肉体を貪り合うかのように互いに体を合わせあう。勿論とても飛べるような形なしておらず、一方の先はあっちを向き、もう一方は羽が全てもぎ取れ、頭しか残ってない上に下を向いている。

 歪

 その一言を表現したような天空城にアイとアギトは船上いや、正確にいえばあの時は陸上にいたのだが、ともかく真反対の天空に二人は今飛ばされている。

 そんな時、唐突にアギトが叫ぶ。


「わしの扱い酷くない!前回ちょっと良かったじゃん!」


「そうだなアギト、とりあえず立て」


 家を出て30時間ほどだっただろうか、未だゆっくりと居眠りのの一つも取れてねぇ。


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