第11話

「ちなみに、アンタのあのヘンテコな鎧みたいなのはどうしたんだ?」

「アーマーのこと?」

「そうそう。アンタが来ていたあの鎧」

彼女はなぜ、研究者という割には動けるのか不思議だった。

「あのアーマーは私が自分で設計して作ったのよ」

トゥアは淡々と言った。

「おいおい、まじかよ。オルガニの研究者だろ。そんな奴があんな代物つくるのかよ」

俺は完全に驚いた。

目の前にいるのは天才というやつか。

「別に難しくないわ。 オルガニを倒すために作ったものだから」

「それはそうだが。まさか自分で作ってるとかは思わない」

俺はたばこを口から離し、煙を吐き出した。

「で、アンタはあのオルガニを自分で作った鎧着ながら探してたのか?」

「そうよ」

トゥアは自身があるのか、力強くうなづいた。

「まじかよ。まぁ、アンタの力をかしてもらうぜ」

俺はたばこを口にくわえながら、言った。

俺を見ながらトゥアは言った。

「ちなみに貴方はいつから、 実験零一号をいつから追いかけてるの?」

彼女は首をかしげながら言った。

「俺たちはついこの間からだ。知り合いから依頼されてね」

「そういうことだったの」

彼女は適当にうなづいた。

「アンタはあれをだいぶ前から追っかけてるみたいだが、なんなんだ? いつも駆除したり、対峙するオルガニとはどこか違う気がするんだが?」

俺はトゥアに問いかけた。

実際、何が本当で、嘘かはわからないものの、彼女の言葉を信じるしか、道はないように思えた。

「あれは……」

トゥアは一度、口を閉じると再度、口を開き言った。

「あれは…、実験零一号と呼ばれ、特殊な力を使う」

「特殊?」

「貴方も目にしたでしょう。 姿を消す能力」

「ああ、あれか」

実験零一号と呼ばれるオルガニを追いかけていた時、奴は自分の前から姿を消したり、現れたりを繰り返してた。

まったくもって面倒なやつだなと思った。

「あれはなんなんだ?」

「私も憶測でしか言えないけれどあれは自身の身体にあたる光を屈折させて、姿を消す。光学迷彩に近い能力といえばいいのかしら」

トゥアはため息をつきながら言った。

「姿を消せるのは面倒だな。 ちなみにそれ以外の能力はありそうなのか?」

正直これ以上、めんどくさいことがあると対峙したときにやる気が失せるかもしれない。

「実験零一号を対象に研究をしていたが、それ以外は珍しいところは少ない。ただほかのオルガニと比べて、食欲は旺盛というのはわかってる」

「なるほどね。 そこまでの目立った特性は少ないと。で、アンタは奴をおいかけていたんだろ? 他にわかったことはあっただろ?」

「……?」

トゥアは俺が言っていることが分からないという顔をした。

「えーと、ほかにも法則性、その、実験…とりあえずオルガニが現れそうな場所になんか共通点みたいなものがあっただろ?」

彼女は俺の言葉を聞くと、顎に手を当てて考える仕草をした。

少しの間黙ると、口を開いた。

「地図は?」

「地図か…… 、ちょっと待って」

俺はウィンストンを呼び、街全体の地図がどこにあるかを確認した。

地図をテーブルの上に広げ、トゥアと眺める。

俺は彼女が何をしようとしているかわからず、たばこに火をつける。

数分して彼女はマーカーで、地図上に印をつけ始めた。

どれくらいたったか、彼女がマーカーのキャップを占める。

「おわった」

彼女がつぶやくと、俺も口を開いた。

「長いからもう一本の煙草に火をつけようとしたぜ」

俺はそのまま、彼女がマーカーを引いた地図を覗き見た。

「これは…?」

彼女がつけたのは日付と、点だった。

「すごいな、こんなにアンタは追っていたんだな」

かなりの数の点があった。

「メモした部分と照らし合わせながら、作ってみた」

俺は拡張現実に、これを落とし込み見比べてみた。

彼女がつけた点が、線で結ばれる。

俺はトゥアに拡張現実の情報を渡す。

「これがあれば、次に現れそうな場所がわかるかもしれないな」

「そうね。 けれど、やっぱり法則性はみつけにくいわね」

トゥアは拡張現実をみながら、言った。

俺はオルガニの動いている場所を見ながら、線をなぞっていく。

「もしかしたら動きがジグザグになってないか?」

俺はトゥアに言った。

彼女は線を見ながら口を開いた。

「確かに。 もしかしたらこれ……」

トゥアが指さした先には意外なものがあった。

「ここか、なら次の対象を待ち伏せするのはここだな」

俺はたばこの火をつけて息を吸い込んだ。

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