ウェディングなんて大嫌い! 私は戦士だから!

マネーコイコイ

伝説のはじまり

「これは前金」


 コインを持ったバッグを差し出した。


「ほう驚いたな」


 まさかこんなに報酬がいいとは思ってなかった。


「私たちを救って」


 悲痛な叫びだった。


「ああ、約束は守る。それが俺の心情だからな。必ず救ってみせる」


 決意は強く。決して砕けることはないだろう。なぜなら、彼女は最強のバーバーリアンなのだから。




……




 新郎新婦である男女が誓いの言葉を交わそうとしている。


 新婦は美しい白いウエディングドレスを着ています。複雑なレースとビーズが施されていて、彼女のベールは長くて繊細で、背中に垂れ下がっています。


ドレスは彼女の美しいカーブした背中や胸を美しく引き立たせます。


周囲の混乱と緊張にも関わらず、彼女は背が高く自信を持って立っています。彼女の人生の愛する人との結婚の準備はできているはずでした。


教会の司祭が男に指輪をわたし、男が女性に指輪をはようとした。しかし、女性は結婚指輪をはめると、突然、不幸な記憶を次々と思い出し、


「結婚なんてしたくない!」


「急にどうしたんだいハニー?」


 突然の出来事に驚いた男は、その心変わりの原因を探ろうとする。


「借金は僕が全部払ったから、心配いらないよ」


 新郎は結婚式のために伝統的なタキシードを着ています。それは黒のジャケットを着て、ズボンを履き、ドレスシャツに袖を通し、ボウタイで首元に結び、ドレスシューズを履いている。


 彼は服装でスマートでエレガントに見えますが、顔には疲労がたまっているのか、目にはくまができて、頬がこけていました。健康なら、かなりのイケメンなのにとても残念だなっと思いました。


「そうじゃない! どうして、幸せの結婚式がこんなにも最悪なわけ!」


 彼の努力にもかかわらず、女性の気持ちは変わらない。


「あなたが誓いの言葉を言ってくれたのはよかったわ。だけど、何? 結婚式の音楽は? 演奏楽団はどこ?」


「バージンロードに花はないし、豪華なかざりもない。このみすぼらしい教会もどうして?」


「それに私の親戚やお父さんやお母さんたちを呼んだはずなのに、この怪しい人たちは誰?」


 黒装束に身を包んだ招待客は、堅苦しい雰囲気の中で祝福の言葉を待っている。まだかいっと。


「ウェディングケーキも一緒にカットするはずだったのに、どうして? 知らない人がケーキを切ってたのも意味がわからないし!」


「写真も白黒写真だったし、なんでなの?」


 彼女にとって結婚式は、むしろ葬儀のように感じられた。


「これじゃあお葬式もいいところよ!」


 黒カラスがカァーっと泣き、赤い夕日が教会の窓から覗きこんでいた。


 窓の外には死体がいくつも黒焦げた死体が、たくさん転がっていて、蛆がその死体を這いずり回り、ハエが血肉をむさぼりつくすようにたかっていた。


 町では市民たちは嘆き暮れ、教会に祝福をあげるものなど、このご時世に誰もいないことだろう。コツコツコツ。


「さあ、僕たちの幸せな結婚式のはじまりだ」


 新郎は目を明後日の方向に向けてなげやりに言った。


「無理無理無理! 絶対無理ー! ありえない!」


 どらぁっと、彼女は右こぶしを突き上げて言った。


「私にこんなことするなんて! どうしてそんなに身勝手なの?」


「僕が、身勝手? 君こそいつもわがままだ。もううんざりだよ」


「そんな、そんなことないわよ! だいたいあなたが結婚式をこんなお葬式にするのがわるい!」


 質素で寒い教会の雰囲気は、彼らの熱い議論の音で満たされていました。


 平和に終るはずだった結婚式は、戦場のように感じられました。


「勘弁してくれよ、お金がないんだよ! それくらいわかれよ! だいたい誰が君の借金を返してやったと思ってるんだ!」


 新郎の顔は不満で赤くなっていて、彼は財政状況を説明しようとしました。


「もう無理だわ! 私を愛し、尊敬してくれない人とは一緒にいたくないの!」


 新婦の目は涙で溢れていて、彼女は新郎が彼女を愛し尊敬していないと非難しました。


2人が静かな教会で叫び合っている間、緊張感は言葉にものが言えないほどに漂っていました。


「お金もないし、幸せじゃない! 君とずっといれればいいと思ったんだ! だけど、いつも何かわがままをいって、無理難題をいってくるやつとは一緒にいたくないね!」


 口論はエスカレートし、声は荒れ、感情は高ぶった。かつてはお互いに持っていた愛と信頼が、怒りと憎しみに変わってしまったのは明らかだった。


「あ、あの……」


 司祭は顔が優しく笑顔が穏やかな高齢の男性です。白い髪と長い白いひげがあり、伝統的な司祭のローブを着ています。


「「なんだ!」」


 これまで押し黙っていた司祭が重い口を開いて、問題を解決する糸口を提案した。


「子供を教会に、神の子として養子に出してはどうでしょう? 国からは祝福金もでていまして、結婚費用くらいでますよ?」


「「ま、まじか!」」


「いやあ、ちょうどよかった。お子さんも眠ってらっしゃる。結婚の門出には最高の祝いですよ」


 教会の入口近くの席で、赤いドレスと小さな赤い靴を履いた小さな女の子が、両親の不和に気づかず、すやすやと眠っています。その姿はまるで天使のようで、大人の複雑な人間関係を理解するには幼すぎる。


「ごもっともだ!」


「そうね! あなた! 子供がいたからいけなかったのよ!」


「子供を捨てて仲直りだ!」


 二人の不仲の原因は、二人の間にできた子供であり、その子供が問題の根源であることに気づいた。


「ええ! それでお金も工面できるから、結婚式をやりなおしましょう!」


 司祭はそれで人生やりなおせると思ってるのかあほ目っと、口には出さず、にちゃあっと笑顔を張り付けて二人の新しい門出を祝ってやることにした。


「さあ、愛と誓いの言葉を」


 お二人は司祭様の前に立ち、互いの目を合わせながら、愛と誓いの言葉を交わされました。


「愛してるよ……どうか僕と結婚してください」


「はい」


 司祭は満面の笑みを浮かべながら、お二人の誓いのキスを見守りました。教会にはステンドグラスから暖かい日差しが差し込み、お二人を色鮮やかに彩りました。


 二人は抱きしめ合い、お互いをみつめ、手を取り合った。


 教会は輝く祝福の光に包まれる中、いまにもキスをしようとした。そのときだった。


「その結婚、ちょっと待った!」


「なんだ?」


 ガチャガチャ、ドーン! っと扉を開けるような音がした。扉が開かなかったから壊したのだろう、あたりには木片が飛び散った。そして、筋肉隆々の女が教会内に入ってきた。


 バーバリアンの戦士は地上でもっとも戦いに強い種族の一つです。彼女は子どもを守るために勇敢で決断力があり、これが彼女を猛烈な戦い手にしたのかもしれませんね。


 危険な状況でも剣を使うことを恐れず、暴力的な傾向があるかもしれませんが、これは彼女の激しい愛と保護心から来ているものです。


 さらに、角の耳飾りを両耳につけています。これは魔力を帯びていて、幼いころに切断したものです。そして、特徴的な赤髪と緑の目、白い肌はバーバリアンの異端児の証でもあります。


「異議があると言っている! 子供を捨てるようなやり方が許されてたまるか!」


「これはこれはどなたかと思いましたら、インドラ様ではございませんか。国王陛下の定めた神聖なる法典の導きに、異議があると?」


「ああ、おおいにある! だが、いまはそんなことどうでもいい。俺はその小さな子供をいただく!」


「そんなことがまかり通るわけないだろう」


「養子として貰うといってるんだ!」


夫婦は口論をやめ、女に注意を向けた。新婦は腕を組んで、信じられない顔をしていたが、新郎は前に出て、女に立ち向かう準備をした。


「君は誰だ? ここに突然入って要求をするなんて? 僕を誰だと思っているんだ。お・貴・族・様・だぞ!」新郎は声を低く、威圧的に睨んだ。


「その子供の遠縁のおばにあたる人間だ。お前ら二人は親としての資格がねぇ!」


 司祭が前に進み、状況を鎮静化するように努めた。「みんなお静かに。ここは偉大なる神王エローン様の教会ですよ?」


 だが、新婦の怒りは止まらない。「おば? そんなの知らないわよ! あなたが私たちの子供をさらおうすることは許されない!」と彼女は叫んだ。


「誰が人さらいだこの野郎!」インドラは背中の大剣を右手でつかんだ。


「その剣でなにをするつもり? 私たちを殺すの? この人殺し!」


「野蛮な戦士め! 神聖な教会を穢すな!」


 部屋の緊張感は言葉にできないほどに漂っていた。インドラと新郎新婦は相手に対して対峙して、自分の意志を達成するために決意を固めていた。


 その時、子どもが泣き出した。誰もが現実に戻された。司祭が近づき子どもを抱き、なだめようとした。「子どもの前で戦うものがあるか。私たち全員にとって平和な解決策はもうないのか?」と彼は言った。


 新郎新婦は瞬間にとらわれていたが、子どもを見て、互いに見つめ合った。彼らは子どものために自分の主張を投げ出すことの重要性を理解した。


「その子を大切にしてくれるなら、別にいいわよ」と新婦は言った。「でも、私たちの子どもが安全で愛される家にいることが確認できるようにしたいの」


 インドラも同意した。「俺は安全な家を提供する。子どもが望むすべての愛と将来を約束する」


 司祭は結果に満足して頷いた。「良い、一緒に祈って、エローンからの導きを求めましょう」


 そして、みんなで手を繋いで一緒に平和と団結をエローンへと祈った。


「まあ、祝福金は私が出すことに変わりないんだが」


「なんかいったか? じいさん」


「こんないい日はないといったんだ」


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ウェディングなんて大嫌い! 私は戦士だから! マネーコイコイ @moneykoikoi

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