第49話 奇襲 ③
【シエスタside】
『 草木も眠る丑三つ時』と云う言葉がありますが、それを少し過ぎた夜明け前についに作戦が実行されました。
離れすぎた所から大声を上げるのも相手を驚かせ慌てさせるのには効果がありますが、今回は出来るだけ犠牲が出ないように静かに実行します。
殺さないことに不満を抱いた武官たちもヴェルフリート王子の命令には従うようですね。
魔法の無い地球と違い、この世界はナーロッパ、ルシアンが創造した世界に神々が便乗した世界なのです。
そして、定番のチートですが女神が用意した、ガチャで決めるとのことだったようです。
私の場合、女神に会うなり殴りかかったらしく、念入りに記憶を封印してから適当なチートを付けて転生させたとのことでした。
それが言霊魔法とアイテムボックスだったのですが使い処が難しいのです。
言霊魔法は少数相手には通じますが、多数の相手には確かめたことが無いのでわかりません。
よい機会ですから簡単な拘束で試してみることにしましょう。
アイテムボックスも時間経過があるタイプな上に物置小屋程度の容量しかありません。
チートにしてはショボいです。
♟♞♝♜♚♛
眠りこけている共和国の兵士を次々と街の警ら隊が
無精髭の武官 ロリシバタ=ドブロクが共和国の兵士を殺さないで生きたまま捕らえている理由を聞いて来たので教えてあげました。
「 生かしたまま捕らえるから価値があるのです。
殺してしまっては恨みしか残りません。
遺族は復讐に燃えて、争いは泥沼化するだけです。
生きていれば、共和国との交渉も有利に運ぶはずですし、建前でも人権擁護を掲げているのですから悪いことには成らないはずです。
外交官の腕の見せ場ですね 」
ロリシバタは黙りましたが、他の武官が
「捕虜にするのは良いが、食糧などの経費はどうするんだ ?
侵略者に我が帝国民の税金を使うのは、大問題に成るぞ ! 」
「 捕虜に成った共和国兵士は、共和国の国民でもあるわけなのですから、経費は共和国に請求したら良いのでは ?
拒んだり、経費をケチったら、共和国に潜伏している帝国の間者に事実を少し盛って噂を流して貰えば、共和国の指導者のメンツは丸潰れと成るから、こちらの請求した金額は払うと思いますよ。
それとは別に捕虜解放を条件に賠償金と帝国に有利な条約を結んで貰えば良いのです。
帝国の外交官は優秀だから期待して良いと思いますよ 」
私の説明に ロリシバタだけで無く他の武官たちまでドン引きしていました。
「白い悪魔だ ! 」
誰かが
♟♞♝♜♚♛
一番立派な天幕に入ると、既にオジャルデゴザル=ネオイルジン元帥は起きていて、
「
責任は全て麿にあるので兵士達には寛大な対応をお願いするでおじゃる 」
正式に元帥の敗戦宣言を頂き、この侵略戦争は 私達アルコール帝国の勝利が決定しました。
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