第50話 クッキー・ペパーミント=ウイスキー公爵令嬢の一日 ⑤

【 テリュース=カンパリオレンジside】


「シエスタは、いいなぁ~。

 アルアルフォンスとカザミドリ大公国に旅行なんて羨ましい !

 しかもジークジークフリートやカタリナまで一緒のダブルデートの旅行なんてズルいと思うの !

 しかも学園公認なんて不公平だわ !

 ……ねえ、聞いているの、テリー ! 」


 クッキーの愚痴を黙って聞いている俺は偉いと思う。

 あらかじめ、シエスタから聞いて無ければ俺も、クッキーと一緒に怒っていたかと思うと冷静になれる。

 口止めされているから、話せないのがもどかしい。


「こうなったら学園長に直接、直談判するわ !

 テリーも当然、ついて来てくれるよね !

 可愛いガールフレンドを見捨てたりしないよね ! 」


 めんどくさい !

 正直 この場から逃走したいが出来ない。

 シエスタと約束をしてしまったのが悔やまれる。


 売り言葉に買い言葉で対応してしまった過去の自分を殴ってやりたい。



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 ⎯⎯ 回想 ⎯⎯



「テリュース、貴方は本気でクッキー様と お付き合いをすることが、どういうことか判っていますか ? 」


 クッキーと友達以上、恋人未満の関係に満足出来なく成っていた俺は、クッキーと同じ孤児院出身だと云うシエスタに相談していた。

 元騎士爵の娘と現騎士爵の息子である俺には一番、相談しやすかったんだ。

 決して、他に友達が居ないからじゃないからな !

 真剣に聞いて来るシエスタが、クッキーを大事に思っていることが伝わってくる。


「もちろんだ!

 俺は本気でクッキーをんだ !」


 嘘偽りなく本気の言葉だった……この時は。

 障害がある程にが燃える、とは良く言ったものだと、今なら判る。

 俺の父親は貴族だが、基本的に騎士爵は一代限りの貴族。

 何か功績が無ければ、子供は平民に戻ることが法律で決まっている。

 吟遊詩人に成りたかった俺は平民に戻ることに忌避感は無かったが、クッキーのことを愛し始めてしまったら話が変わってくる。

 養女とはいえ、クッキーは公爵令嬢だ。

 平民処か、最低でも伯爵位がないと釣り合わない。

 昇爵するには、シエスタ達に追いて行って手柄を上げるのが早いので、シエスタに頼み込もうとしたら断られてしまった。


「クッキーを野放しにするつもりですか !

 ようなものですよ、正気ですか! 」


 ……と凄い勢いで断られてしまった。

 言っている事は、よく解らないが、とにかく凄い危険な事だと伝わってきた。


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 学園長に会おうと担任の教師に聞いてみたら、いつの間にか引退していて、現在は選考中だと云うことだった。

 機嫌の悪いクッキーの気分を変える為に街を二人でデートしている時に、偶然に人攫ひとさらいの現場に出会してしまった。

 おそらくは、他国に人身販売をするつもりなのだろう。

 このアルコール帝国では、人身販売や奴隷を禁止しているが、闇商人や一部の貴族が隠れてやっているんだ。

 コイツらを捕まえれば、伯爵は無理でも男爵くらいは貰えるほどに、アルコール帝国は麻薬と共に厳しく取り締まりをしていた。


「テリー、あの人攫いの馬車を追いかけるわよ ! 」


 行動力だけは早いクッキーが走り出したので、あわてて俺も追従したのが間違いだと気づいた時には遅かった。





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