第48話 奇襲 ②

 時間を少しさかのぼります。


【シエスタside】


 桶狭間おけはざまの戦い、大公国の地図を見た時に気がつきました。

 私は歴女では無いので詳しいことは知らないのですが、『🍂作者の徒然つれづれ執筆日記』でルシアンが自慢していたのです。

 ルシアンの誕生日が、桶狭間の戦いと同じ日であることを。

 大公国の地図にある地名は、少しモジッてあるだけで分りやすいと云うか、ナーロッパを無視しているとしか思えません。

 敵の指揮官の名前も今川義元を想わせる名前でした。

 それなら、あの戦いが実現出来るはずです。


 敵に村人として潜入する人員に、トーウキチロー=サルザケ と云う解りやすい人物が選ばれました。

 しかし、侵略軍を撃退するのに選ばれたのが、信長では無く スカーレットと云う女将軍でした。

 日和りましたね、ルシアン !


 オジャルデゴザル=ネオイルジン元帥が自ら指揮を取り大軍を率いて来ているそうですが、山間の参道では、大きく展開は出来ないでしょうね。

 アルコール帝国の国境の近くの開けた場所に村が有ったので、こちらで提供した食べ物や酒でもてなす提案をしました。

 もちろんなどは使いません。

 只、呑み易いけどアルコール度数の高い酒を選びました。

 最初、私の意図を理解出来なかった武官が、


「そんなことをして何に成る !

 敵に媚びるつもりか、これだからはダメなんだ ! 」


 提案したのは私なのに、無精髭の武官が見ていたのは、スカーレット将軍でした。


 お~嫌だ嫌だ、自分の無能さを棚に上げて と云う理由だけでマウントを取ってくるなんて !


 しかし、私の意図を汲み取ったスカーレット将軍は ニヤリと笑いながら、


「なかなか悪どい策ですね。

 の二つ名は伊達では無いと云うことですか。

 シエスタ殿とは気が合いそうだ 」


「 待ってください !

 は誰が言い出しっぺなんですか !」


 思わず聞いてしまいましたが、帝国騎士団から流れてきた噂だと云うのは突き止めましたが、個人までは特定出来ませんでした。


 もちろんだと説明したのですが、


「謙遜も過ぎると嫌味ですよ 」


 と、笑って取り合ってはくれませんでした。


 話題に置いてけぼりにされた無精髭の武官が説明を求めてきたので詳しく説明したら、


「卑怯だ、騎士道の風上にもおけぬ策を恥ずかしいとは思わないのか!

 これだからは……


 最後まで言わせない、と思い反論しようとしたら スカーレット将軍が、


「卑怯なのは、お互い様でしょう。

 ポイズン共和国は不戦条約を一方的に破棄して、宣戦布告をせずに奇襲をしてくるのですから ! 」


 その言葉に反発していた武官も黙りました。


「 皆の意見が出尽くしたようだし、異論が無いようなので、シエスタ殿の策を採用することに決定する ! 」


 第一王子 ヴェルフリート殿下が宣言をして作戦が実行されました。



 ♟♞♝♜♚♛


 スカーレット将軍のサポートとして、何故か私まで出陣しています。


 オッケィハザマ山に布陣した私たちは、村人に扮したトーキチローからの合図を待っていました。

 予定では、もっとも深く眠る明け方前。


 村人に提供された食べ物や酒で共和国の兵たちは眠り始めていました。






 ● 桶狭間の戦いは、永禄3年5月19日に尾張国知多郡桶狭間での織田信長軍と今川義元軍の合戦。2万5千人の大軍を率い尾張に侵攻した今川義元に対し、尾張の織田信長が本陣を奇襲、または正面から攻撃し、今川義元を討ち取った。

 Wikipedia参照

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る