第15話 学園編、本番の始まりです。 ①

【シエスタside】


 あれから、徐々に貴族派の生徒を切り崩していきました、アルフォンス様たちが。

 結果、だいぶ風通しが良く成った学園は良い雰囲気に成って来ましたね。


 これなら、トラブルメーカーのクッキーが入学してきても大丈夫そうです。


 そう、このルシアンの小説の主人公は、クッキー・ペパーミント=ウイスキー なのです。


 アルフォンス様やイライザお嬢様は、憎まれ役で最後には『ざまぁ』されると云うテンプレ小説なのです。


 クッキーの空気を読まない体質から、さまざまなトラブルを起こす学園ファンタジーラブコメ小説と欲張り過ぎる設定に笑い飛ばしていた私ですが、『ざまぁ』されるアルフォンス様に巻き込まれて破滅する役どころなのですから冗談では済まされません。


 出来るだけフラグをへし折って来ましたが、油断は禁物です。


 クッキー……クッキー様からの連絡があり貸し切りにした貴賓室で再会することに成っています。

 既にイライザお嬢様も来ていて、アルフォンス様との久し振りの再会でお話をしていますね。

 ローゼンマイヤー様が居ないせいか、少しふっくらとしているイライザお嬢様を見てから、イライザお嬢様のお付きで追いて来たパティを見たら、静かに首を振っていました。

 どうやら、コルセットもしていないようですね。

 さぞかし お腹周りが、ふっくらと……


 コン コン コン


 ノックが静かにされてクッキーが入って来ましたね。

 ノックで入ってくるなんて、いかにルシアンが知識不足なのか判ると云うものですが、これがこの世界の常識なので、誰も疑問に思わないようです。


 久し振りに逢ったクッキーは、良い食べ物を食べているようで、肌艶が良いわりにスタイルがモデル並みに細いです、ウエストが。

 それに反して育ったクッキーの胸にジークフリート王子もキャスバル様も視線を集中していますね。

 女の子は視線に敏感なのに仕方の無い殿方ですね。

 アルフォンス様は と云うとクッキーの目を見ているので合格としておきましょう。


 まったく、ふたつの胸のふくらみは何でも出来る証拠だとばかりに胸を張るクッキーにはつつしみと云うのを教えなければ成りません。


わたくしも居ましてよ。

 はじめまして、ジークフリート殿下、キャスバル様。

 リキュール辺境伯の三女、カタリナ=リキュールです。

 そして、はじめまして、私の婚約者様 」


 原作小説では、クッキーの良き理解者であり親友となるカタリナ様までがいらっしゃいました。

 二人の出逢いは、もっと後のハズですが、これもフラグをへし折った影響でしょうかね。

 原作小説では、ニールと同じキモデブのアルフォンス様を毛嫌いしていたハズですが、今のアルフォンス様には嫌悪感が無い様子です。

 苦労したかいがありました。

 これで、カタリナ様から逆にされる可能性が少なく成りそうですね。


 ズキッ


 働き過ぎですね、胸が痛いです。

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