第24話

 玲香の夜這い事件後はゆっくりと眠ることの出来た僕。

 そんな僕は何も知らないレーシアと夜這い事件の犯人である玲香と共にレーシアの所属する犯罪組織のアジトであるビルの前でこれ見よがしに集まって楽しく会話していた。


「これ、新作のからあげなんだけどめちゃくちゃ美味しいよ」


「あら。本当ね」


「たらことマヨネーズが意外に合いますね」


「え?そんな意外か?」


「結構ありふれてないかしら?たらこマヨ」


「……え?」

 

 そこら辺のコンビニで買ってきた食材をパクつく僕ら……そんな僕らに犯罪組織が噛みついてきたのは実にすぐのことであった。


「……ッ!」

 

 恐らくはビルの高層より放たれたと思われるスナイパーライフルの弾丸が僕の頭を打ち抜き、僕が地面へと倒れる。

 頭をぶっ飛ばれた僕がブラックアウトする直前に見たのは弾丸をきれいに回避するレーシアと玲香の姿であった。


「よっと」

 

 頭をスナイパーライフの弾丸で打ち抜かれ、地面に脳漿をド派手にぶちまけてもなお、サクッと復活した僕はどこに隠れていたのか弾丸を回避したレーシアと玲香へとナイフを突きつけようとしている男二人の前に躍り出て、自分の手の平で二人の手にあるナイフをつかみ取る。


「刺された。これより正当防衛だよ」

 

 頭を打ち抜かれ、ナイフで刺された。

 これならちゃんと正当防衛が成立するだろう……たとえ、犯罪組織を壊滅することになっても。

 

「「ッ!?」」

 

 僕に拳を掴まれた二人の男は驚愕して体を止め、その間に態勢を立て直したレーシアと玲香の攻撃を受け、意識を吹き飛ばす。

 僕は手の平に刺さったナイフを抜く……すぐに治るがやっぱり痛てぇ。


「さぁて、カチコミに行こうか」

 

 僕は懐に拳銃を一つだけ隠し持ち、玲香は彼女が好んで使う武器であるナイフを体中に仕込み、レーシアは自分の体を隠していたコートを脱ぎ捨てて完全武装の姿を晒す。


「はい」


 腰の刀を抜いたレーシアが僕の言葉に頷き。


「了解よ」

 

 玲香も両手に短剣を持ち、頷いた。


「別に殺しても良いけど、出来るだけ生け捕りで」

 

 僕はそう命令を下し、ビルの方へと足を踏み入れた。

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