第22話
玲香から感じる圧力。
それが上昇したことを感じ取った僕は身構え、戦闘体勢に入る。
「……抵抗するつもり?」
「もちろん」
「私のスキルについてはもちろん知っているわよね?」
玲香のスキルである『食人鬼』。
一週間に一度、人間を喰わなければ飢餓状態になるというデメリットスキルだが、ちゃんとメリットも存在する。
対人間戦闘時の戦闘能力上昇と、人を食えば食うほど自分の力が上昇するというメリットが。
普通に生きている分にはまるで使えないデメリットスキルだが、喰える人間がいくらでもいる戦地などであれば玲香は無類の強さを発揮出来るだろう。
ただ死ぬことがないだけの僕がまともに戦えば普通に考えたら、対人戦で無類の強さを持ち、僕を食べて強くなっている彼女にフルボッコにされておしまいだろう。
「もちろん……ですが、玲香は未だに僕のスキルの全容を知りませんよね」
だが、僕のスキルである『不死者』はただ死ぬことがないだけではない。
だとしたら再生能力も、自分の体が溶けるという能力も使うことが出来ないだろう……僕の不死者はただ死ぬことがないだけのスキルではない。
まぁ、僕も自分のスキルについて完全に把握しているわけじゃないんだけど。
「私に、隠し事を?」
「挑んで見ればわかるでしょう」
僕の言葉。
それが発し終わると同時に僕の体は後方へと吹き飛ばされ、壁にぶつかる。
「ぐふっ」
普通に致命傷。
「倒す」
「無理だね」
僕はいつの間にか吹き飛ばされた自分のすぐ目の前に立っていた玲香の方へと手をのばす。
だが、所詮ただの人間程度に出せる程度で動く僕の腕を玲香が払い除け、自分の手を僕の方へと伸ばすのなど容易いだろう。
「えっ!?きゃっ!?」
だが、僕の方へと手を伸ばす途中で玲香は体のバランスを崩して床へと倒れる。
「ほっ」
僕はバランスを崩して倒れた玲香の体を押し倒して、関節技で動けなくさせた後、右手を自分の懐へと入れる。
「あがっ!?」
懐に忍ばせていた拳銃を取り出した僕は床に倒れる玲香の口に拳銃を突っ込み、いつでも引き金を引き、玲香の頭を吹き飛ばせる状況を作り上げる。
「これで僕の勝ちです」
僕は玲香との戦いで実に鮮やかな勝利を見せつけた。
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