第21話
ドロドロに溶けてなくなった僕……そんな僕はこの家の床に隠しておいた僕の親指の爪から体を再生させ、何事もなかったのように立ち上がる。
『逃げ出し方が怖いのじゃッ!?』
幾度も僕の反則的な再生能力を見てきている
僕の不死性は尋常じゃない。
そこらへんに落とした髪、爪、垢などからも当たり前のように再生出来る。僕は世界中に自分の体の一部をばら撒くだけで絶対に殺せない。
『不死者』のスキルは伊達じゃない。
どんな状況であろうとも体の一部から再生する……もしかしたら体の一部が世界のどこにも存在しなくとも再生出来るかもしれない。
それが僕なのだ。
「ふぅー」
僕は深々と息を吐き、視線を玲香の方へと移す。
「どういうつもりで」
「なんで逃げるの?」
僕の言葉を遮り、玲香が口を開く。
「ねぇ、なんで逃げるの?」
「あの状態で逃げぬ人は居ないでしょう」
「なんで?」
「……それくらいあなただってわかっているでしょうに。僕は神に何もかもを捧げた一人の信徒です。貞操でさえも神にささげています」
『えっ!?』
「玲香にあげるわけにもいかないのですよ」
「……」
僕の返答に対して玲香は沈黙し、答えに悩むような様子を見せる。
「輝夜が神様を大事にしているのはわかる……でも、だからと言って私も引けないの。姿が見えることもない神様よりも私が気持ちよくさせてあげる。だから、大人しくして?」
『神である我が容認してやってもいいのじゃよ?その女子を抱くことを』
黙れ。
僕が玲香となんてしたくないから、断っているんだよ。空白なんて関係あるか。
人間が嫌いだ、僕を傷つける奴が嫌いだ。
嫌いな人間に抱かれるなんて考えたくもない。
「断りましょう」
「神様と私、どっちが大事なの?」
「……迷える子羊を導くを神より仰せつかった教祖たる僕に酷なことを聞きますね。答えるのに窮しますが……、それでも僕は神を選びます。すべては、神から始まったことですから」
「……そう。なら、力づくでも押さえつけてあげる」
僕の答え……それを聞いた玲香から感じる圧力が膨れ上がり、僕へとのしかかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます