第16話

 救済教会が本部、僕の家。

 そこに教会の頂点に君臨する教祖である僕に、救済教会唯一の信者である間宮玲香。

 そして、信者候補のレーシア。

 救済教会関係者計三名、全員集合していた……す、少ねぇ。


「さて、と……それじゃあ我が教会のこれからについて話していきますね」


「……良いわ」


「……お願いします」


「……っ、え、えっと。我が教会の目的は迷える子羊を導き、救うこと。そのためならば相手を信徒にすることも二の次ですが、神も多くの信徒が居た方が喜ばれるでしょう」


『うむ。そうじゃ……間違いないのじゃ。信徒を!我の信徒を増やすのじゃ!』


「それと、我が教会は財政不足です。なんて言ったって収入源がないのですから。教会の方でもなんとか収益を作りたいと考えています」


 でないと、僕が死ぬ。

 餓死は……本当にきついんだ。多分一番きつい死に方だと思う……体を生きたまま貪られるよりも辛かった。

 所詮体を食われるのだって大した時間もかからずに気絶しちゃうからね……。


「僕一人で考えていても限界が来てします……なので、どうすれば良いかを皆さんからの意見も取り入れたいと思っています」


「なら、これを排除するのが先決かと」


「でしたら、これを排除するのがよろしいでしょう」


「……」


 僕はもう、何も聞かなかったことにした。


「ですが、それは一度後。まず我々にはやらなくてはならないことがあります」


「無視?」


「無視ですか?」


「それはレーシアを救うことです。彼女は僕に助けを求めてきました……それを無下にしては我が神の代行者たる教祖の名折れというものです。早急に解決する必要があります。合法的に。内容は自分を縛っている犯罪組織から救い出してほしいというものです。一応、国家権力たる警察に解決出来ないかと頼ってみましたが、調べるに値するだけの証拠がないと言われ、断らえてしまいました。そこで、です。一計を案ずることにしました。あえて、三人でその犯罪組織の本拠地がある場所に行きます。そしたら脱走者であるレーシアを捕まえるもしくは殺すべく手先が向けられるはずです。そしたら最後、先に攻撃を受けた僕たちは正当防衛という大義名分を抱えて本拠地を襲撃。数々の犯罪の証拠を力づくで奪い、それを警察へと届け出。後は警察が解決してくれるでしょう。証拠さえ渡してくれれば、こちらでなんとかすると、自分が一度頼った男が手柄欲しさに快諾してくれました」


 一切二人に異論を挟まれないよう、僕はすべてを早口で言い切って見せた。

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