第5話
僕の家の一室。
そこに豪華絢爛とまでは言わなくともそこそこ立派な御神体が置かれていた。
「……」
「……」
『おっほー!信仰心がッ!信仰心が我に集まってくりゅぅぅぅぅううううううう!」
その御神体の前で祈りを捧げる僕と玲香。
……そして、信仰心を得て気持ち悪い声を上げる空白。
『……のぅ。教祖よ。いい加減我に信仰心を抱いても良いんじゃないか?汝から一切信仰心が届かぬのじゃ』
うるせぇよ。カスボケ……てめぇのために少ない金を使って御神体を用意し、祈りを捧げてくれる玲香という信者を用意したんだ。
喜べよ。これ以上望むんじゃねぇよ……誰が面倒事を持ち運んでいた貴様を信仰するか。
……信者増やすの面倒だなぁ。
「このくらいで良いでしょう」
きっちり10分間測っていた僕は立ち上がり、組んでいた手を解いて目を開ける。
「あっ。今日の神への感謝はこれで終わり?」
毎日10分間。
御神体に祈る時間を作っているのだ。
「うん。終わりですよ」
僕は玲香の言葉に頷く。
「よし!じゃあさ、じゃあさ。勉強教えて?今日の授業でわからないことがあったんだよねー」
「……僕はその授業を受けていないんだけどね」
僕と玲香は同い年……高校で習っている範囲は同じなのだが、残念なことに僕が高校に通っていない。
「でも、いつも教科書をペラペラ見て理解するじゃん」
「いや、そうだけど」
自分で言うのも何だが僕はかなり地頭が良い。
中学生の頃から一度も定期テストで一位以外になったことがない。
「それでも僕は授業受けていないから、間違ったことを教える可能性もあるし……」
「それでも何も教えられないよりマシだよ。今日も私が家に帰るまで勉強を教えてね!」
玲香はいつも高校から家にも帰らないでそのまま僕の家へと訪れ、夜ご飯前に帰っていくのである。
「勉強を教えてね!とは言いつつもいつも途中から遊びだすけどね」
「そんなの誤差だよ!誤差!」
「……誤差って何だっけ?」
僕はそんなことを話しながらいつも玲香と過ごしている己の部屋に向かってあるき始めた。
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