題名「君と見た星座…約束の星空へ」
大崎 楓
シンとネミ
世界が人間の自然破壊によって、人間社会は崩壊した。
崩壊から二十年が経った地球の日本の東京、新宿あたりをシンとネミは一緒に歩いていた。
「この辺りはお店がたくさんあるね!」
ネミが元気に話す。
「ネミ、遊んでる時間はないよ。今日中に安全な場所を探さないといけないんだから、ネミも手伝って」
シンは少し焦った様子で言う。
二人は元々七人で行動していたが感染症で五人も死んでしまったのだ。たがら、シンは焦っていた。次は自分かもしれないのだから。
*
「ねぇシン!変なものをいっぱい置いてるお店があるよ!」
その後少し歩いた場所でネミが指さしたお店には二枚のガラス板が変わった形をしたフレームに嵌め込まれた物がたくさん売られていた。
「本当だね、これは何に使う物なんだろう」
二人してその変な物を見ながら、持ち上げたり、振り回したりしていると。
「あ!」
ネミが大きな声を出した。
「どうしたの!?」
と僕が聞きながらネミの方を向くと、ネミはボロボロになったポスターに写った女性のように、その変な物を顔につけていた。ポスターには『眼鏡を選ぶなら!…』と書かれている。
おそらく、眼鏡と言われる物を顔につけたネミは…
「世界が綺麗に見える!!」
と言いながらキャッキャッと喜んでいる。
「星が見たい!」とネミは言って僕の手を引いて外へと連れて行く。
僕たちが外に出ると、すでに夜で空には満天の星空が広がっていた。
星の光はネミの笑顔を照らしてネミをより輝かせた。
「綺麗だね、シン!」
僕は笑顔のネミに応えるように笑顔で答えた。
「そうだね、また一緒に見よう。この満天の星空を」
「うん!約束だよシン!」
僕たちは再びこの星空を一緒に見ることを約束した。
*
次の日、ネミが死んだ。朝起きると体は冷えきっていて氷のようだった。
横たわるネミは血を吐いていた。
感染症だ。
ネミもみんなと同じ感染症で死んでしまった。僕はネミのお墓を作った。
そして、ネミのお墓に手を合わせてから僕は一人分の荷物を持って歩き出す。
ゴホッ…ゴホッ…
僕の口から血が出た。
僕は血を拭う。
僕は進まなければならない。
みんなの分も、あの綺麗な星空を見るために。
題名「君と見た星座…約束の星空へ」 大崎 楓 @OosakiKaede0411
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