あなたと出会えたことに感謝を。
@kuruugingu
第1話
わたしとあなたが生まれた時、距離はとてもとても遠く離れていた。県を一つ跨ぐ、どころではないとてもとても遠い場所で、わたしとあなたは生まれた。
この時はまだ、わたしはあなたのことを知らず、あなたもまた、わたしの事など知らずに生きていた。
わたしとあなたに物心が付き始めた頃、あなたがわたしの家の近くにやってきた。
その理由があなたの両親の転勤だということをわたしとあなたが知るのはもうちょっと先のことだったが、わたしとあなたはこうして出会うことができた。
わたしとあなたは良く遊んだ。共に無邪気で好奇心旺盛な子供で、互いが互いに興味の対象で、どんなことも一緒に楽しんだ。時に喧嘩もしたけど、最後には必ず仲直りをした。
成長していく度に、わたしとあなたは楽しむものが別のものになっていった。
食事に、音楽に、おしゃれに、スポーツに、ゲームに、漫画に、アニメに、小説に。
目の前の世界が広くなっていくうちに、自然と興味の対象も増えていって、だんだんとずれ始めた。けど、わたしとあなたは変わらずに仲良しだった。
高校の時、わたしはあなたに恋をした。切っ掛けは些細な、けれどとても強い糸。
それからわたしはあなたの一挙一動に強い興味を引かれ、それを目で追いかけていつも夢中になっていた。
あなたはその時、ずっと部活に夢中になっていたけれども。
学校を卒業して、いよいよ互いがそれぞれの道を歩もうとするその時期に、わたしはあなたに告白をした。一斉一代の大勝負。結果として、わたしはあなたの顔を赤らめさせることに成功した。わたしの顔も熱くなっていた。
大人になって、わたしとあなたの世界はもっと広がった。社会の厳しさを体感して、その荒波に耐えきれずに流されそうになった時、常にあなたが傍にいて、共に支えあって。
そうして今、わたしはあなたと同じ人生を歩んでいる。
ねぇ、あなたは気付いてる?わたしの人生がここまで色鮮やかになったのは、あなたとの出会いがあったからだってことを。
あなたと出会ったから、わたしは楽しく遊ぶことができた。心の底から笑えた。
あなたと仲良くなったから、わたしには趣味ができた。好きなことが生まれるようになった。
あなたに恋をしたから、わたしの心には幸せが溢れた。
あなたと支えあえたから、わたしは頑張り続けることができた。
あなたと一緒にいれたから、今のわたしがいる。あなたがいなかったら、今のわたしはいない。
だから。
あなたと出会えたことに、感謝をしたい。
わたしと出会ってくれて、本当にありがとう。
あなたと出会えたことに感謝を。 @kuruugingu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます