第6話バレンタイン (エピローグ)


バレンタイン (エピローグ)

地下の総務第三課に帰ると、牧田が来ていた。




「お疲れさま、これいかが??」


牧田さんが小さなトリュフチョコレートをくれる。




「お疲れ様です。‥高級チョコ美味しかったですか??」




「‥どうかしらね??」




「箱、ありがとうございました。」




「…どういたしまして」




進藤のチョコダンボールに入っていた送り主不明な高級チョコは、平井が入れていたのが防犯カメラに映っていた。




しかし、買ったのは牧田だから、牧田が平井に頼んだのだろう。そして、その箱は空だった。




奈津美は、平井を詳しく調べざるを得ない。


それが仕事だから。




そこで、平井を調べていると、いろいろと繋がったのだった。




つまり、牧田は奈津美にヒントを与えたのだ。




牧田の指示があって平井がやっていたのでは?というのは、奈津美の考えすぎだろうか。


どちらでも良いが、牧田を敵にはしたくないな、と思った。




「そのチョコ、一粒2000円よ」


「え??」


「社長のお坊っちゃまより、女子が食べた方が価値があるから、あなたにあげるわ」




しまった!!変なこと考えてて、味わってないよ!




「ふふ、面白い顔ね~!じゃあ、これからもよろしくね!奈津美さん、それ残り食べてね」




それだけ言って、一個だけ食べて牧田は去っていった。




その後に、進藤が入ってきた。


「お!美味しそうなの持ってるな」




(はあ)




「一個だけ、食べてもいいよ」


もともとは進藤のものだ。


進藤はめちゃめちゃ嬉しそうに一個とって、食べる。




「うーん、これ苦いな~もっと甘いのがいい」


(さすが牧田さん、女子が食べた方がいいね)




「それ、一個2000円だから」


「先に言えよ!!」




「で??なんの用??」


「今度正式に俺が第三課と監査部の兼務になるから、行成さんが歓迎会しようって」


「え?期間限定じゃないの?」


「おう!」


(はー、最悪だ。)




「山下、よろしくな!」


「‥はあ」


(早く帰って、BLの新刊読みたいー)




遠い目をする奈津美だった。

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