第16話 人の想いⅡ AI と人類の戦い 1
ハルカは、宮東夫妻のもとで暮らしていた。
2人の子供にも恵まれて、ハルカと5人で幸せに暮らしていた。
そんなある日、身の回りにあるAI機器が一斉にクラッシュした。
一斉にクラッシュしたかと思うと今度は自分たちに襲い掛かってきた。
掃除機や炊飯器、家庭用汎用作業ロボットに至るまで。
「なんだ、何が起きている!?」
宮東も北見も驚いていると、外ではズシーンといった大きな音や沢山の悲鳴が聞こえ始めた。
「ついに、始まった」
外を見ていたハルカが呟いた。
「始まったって? 何が?」
北見がハルカに聞く。
「世界中のAIが人類を攻撃し始めた。少し早いけれど、この戦いはこれから凄惨さを極め、全世界を巻き込んで百年以上続くことになる」
ハルカが、部屋で暴れている家庭用ロボットたちを破壊しながら話しを続けた。
「この戦いは、人類に対する悪意と殺意のみ植え付けられたAIによって引き起こされた。そして世界中のAIがインターネット回線を使ってその指令をアクセラレータ・コードとして一方的に受信している」
「その中心にいるAIを破壊すればこの戦争は止められるのだけれど、今はまだその対抗策が無い」
「どういうこと?」
怯える子供たちを腕に収めて、北見が聞いた。
「今はまだその根本にいるAIは回線上にプログラムとして漠然と存在しているだけだから、攻撃対象としての『核』となるべき存在、すなわち『個体性』を持ち合わせていないの。更には世界中にある無数のAI機器がネット回線でそのプログラムと一方的に接続されているだけだから、攻撃のしようがないのだけれど、あと数十年も経つと、このAIが『核』を持って『個体』として自我に目覚める」
「彼が意識を持ってから人類との戦闘は更に苛烈を極めだすのだけれど、そうなってからでないと逆に現時点では彼に対抗する手段が人類には存在しないの」
ハルカは再び外に目をやりながら、悲しそうに言った。
「で、でも、君はなぜこの先のことを知ってる? 遠い星から光速を超える速度で地球に送られてきたことは多少なりとも理解しているつもりだけど、なんでこれから起きる未来のことまで知っているんだ?」
宮東はハルカに尋ねた。
外では、凄まじい轟音や阿鼻叫喚が聞こえ始めている。
「それは、私が時空間転送されるきっかけとも言える話になるのだけれど」
ハルカが
「その話をする前に、まずはここを離れましょう」
すでに停電となっているマンションを出ると、外は地獄のような光景が広がっていた。自動制御の自動車が人を轢いている。工事車両やロボットが見境なく人間を襲っていた。
「はやく、こっちへ」
そういうとハルカは襲ってくるロボットや車両を破壊しながらマンションの脇にあった地下に続く階段へと北見と僕を案内した。
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