第21話ドン・キンピラーノ登場

マズー達の町へと向かう列車には食料や医療品など生活に欠かせない沢山の物資が積まれていた。

それゆえに襲撃されることも多かったが、今は屈強な武装した男達に守られ安全に物資は輸送されていた。


その武装軍団を束ねる男の名はキンピラーノ。


キンピラーノはかつて広大な領地をもっていたが、先の大戦で領地の大半を奪われてしまった。

表向きは従属の姿勢を見せていたが、セントラルによる食料の独占、属国を搾取の対象としか見ない政治姿勢に憤慨し反撃のチャンスをうかがっていた。


そんな彼に希望を抱き人々は敬愛の念を込めてドン・キンピラーノと呼んだ。


キンピラーノは車窓から見える美しい景色をぼんやり眺めていた。

キリッとした太い眉毛に鋭い目つきの武者顔。

彼もまた『ねぶた』顔を持つ男だ。


セントラルから各地に向かう鉄道を支配していたキンピラーノは途中の町々で子供を作りファミリーを増やしていた。

マズーの町もその1つで年に数回キンピラーノ自ら訪れていた。


それにしても、このような容姿で女性になぜモテるのか・・・・。

おそらくは彼の人柄だろう。絶対無敵の胆力。そして有り余る性欲。

そして何より仲間を決して裏切らない義の男。


しかし、ほとんどの女性はその顔面の恐るべし圧力『顔圧』に負けて落とされてしまったらしい。気絶していたとの噂もあるくらいだ。


ガタン、ガタン。ガタン、ガタン。


キンピラーノを乗せた列車は静かにマズーの町に到着した。













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