第17話神のいたずらマズーと私

田舎の小さな炭鉱の町に降り立った私はマズーという少年と出会った。

少年は最初こそ警戒していたが、空から降ってきた私に興味をもってくれた。


「おじさん・・いや、おばさんは何者なの?」

興味津々にマズーが聞く。


えっと・・・私はこの世界では何者なんだ?

そう考えていると私の頭の中から新しい記憶がフツフツと湧いてくるではないか!


なんだ?これは?

そういえば、先生は物語は自然と進むから流れにまかせるように言っていた。

つまり、物語の進行にあわせて記憶がアップデートされるのではなかろうか?


「えっと。私はかつて野菜の発芽を支配していた王家の末裔でチータといいます。」


「はあっ?」

マズーはこいつ馬鹿か?と言わんばかりに疑いの目を私に向ける。


「まあ、おいおい事情がわかって来ると思いますので、とりあえず今夜私を泊めていただけませんか?」


・・・・・。

すごく嫌そうな顔だ。

ピーマンを初めて食べた子供みたいな顔してる・・・。


「あの・・私の勘ですが、この後軍やら空賊やらが私を捕まえにくると思うんですよ。知ってるんです。はい。で、ちょっと危険なので泊まりますね~。」


そういって勝手にマズーの家に入ると

「この部屋にしますね~。」

さらに続けて

「あと朝食は目玉焼きとトーストでお願いしますね~。おやすみなさ~い。」


勝手に泊まる事にした。


マズー・・・・・。ぽかーん。( ゚д゚)


幸いマズーは優しい子だったため役人を呼ばれることはなかった。


私は部屋に入ると自分の現状を確認することにした。

大きな鏡で自分の姿を見る。


あぁ・・・『ねぶた』顔の三つ編みのポッチャリしたおじさん風のおばさんがいる。

さらに確認する。

どうやら・・・正確には、おじさんのままのようだ。

キノコは失っていない。


いわゆる多様性ってやつです。はい。

そういえば、いつの間にか『俺』ではなく『私』と言っている。


どうやら知らないうちに私というキャラクターがアップデートされているらしい。


さてさて、これから私の冒険はどうなるのだろうか?

まあ、流れに身を任せて楽しんでみるか。


こうして夢の中での初日が終わった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る