第8話能力発動1日目
ジリリリリリっ! 目覚ましが鳴る。
「うんんっ。」眠い目をこすりながら天井を見る。
昨日は楽しかったな・・・・。
競馬も勝てたし、結構飲んだ。そして何より、あの先生面白かったな・・・。
どうやら山口の中で私は『先生』らしい。
そういえば別れ際に妙なことを言っていたなぁ。
例の能力が使えるとかなんとか。
例の能力って透明人間がどうしたとか言ってたよな。
ふふっ。
ほんと変わった人だな先生は。
ぼんやり起き上がりカーテンを開ける。
チチッ。チチッ。明るい光と鳥の鳴き声が聞こえる。
今日も良い天気のようだ。
仕事初めの月曜はたいがい憂鬱なものだが今朝は不思議なほど清々しい気分だ。
とりあえず朝飯か・・・っとその前に歯を磨こう。
朝食のあとに歯を磨いた方がよい気もするが俺は先に磨く。
寝ている間に何となくネバついた口のまま食べるのがたまらなく嫌なのだ。
洗面台で鏡を見ながら歯ブラシを持ちふと。
「透明になれ!」なんてね・・・。
ぶっ!ぶほぁっ!
な、なんだ!?
鏡に映っているのはパジャマと空中の歯ブラシ!?
嘘だろ!? 落ち着け、落ち着け。
どうしよ・・・どうしたら・・・。
「もどれ!もどれ!」
あっ・・・。戻った。 戻るんかい・・・。
「透明になれ!」
・・・・・・。
あれっ?ん? 何も起こらん・・・。ちょっと飲みすぎたか??
待てよ。思い出せ。昨日の先生の話を。
確か
「あっ。それから例の能力明日から使えるからね。ただし3日間。」
「1日に使えるのは1回だけ最長5時間だから。よく考えて有効にね。」
そうだ。確かに言っていた。
3日間。1日1回5時間まで。
ということは今ので初日は使ってしまったのか!?マジか!?
まずいぞ。まずいぞ。どうする。どうする。考えるんだ俺!
って、とりあえず仕事行かないと。くそっ。
通勤の電車の中で必死に考える。
もし3日間この能力が使えるなら今日はともかく仕事なんかしている場合じゃないのでは。
では何をするべきか・・・。
必死に考えるが答えが出ない。
会社に着き同僚に挨拶をし、いつもの製造ラインに入る。
とにかく今日中に力の使い方を考えなければならない。
心ここにあらずのまま月曜の仕事が始まった。
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