第2話 ファーストコンタクト
久しぶりに地上の人間とコンタクトをとることにした。
うーむ。久しぶりだから上手にできるだろうか?とにかく第一印象が大事だからな。
警戒感を与えず、自然な感じで私が神であることを伝える。
そして神の力を使い君の手助けをすると理解させる。
うん。簡単な作業だ。出来る。やれる子だ私は!
まず、どのような容姿に変身しコンタクトすべきだろうか?
相手の山口という男はパンチの効いた愛嬌のある男。
なるべく同じ雰囲気にした方が親近感が沸くに違いない。
ふむふむイメージは固まった。
あとはどのタイミングで会うかだ・・・。
ところで、私は神なのだからその気になれば相手の記憶すら書き換え都合の良い状況を作り出すことなどたやすい。
しかし、とにかく暇だからやっているのだ。
なるべく自然にこの男に関わりたい。
私なりにルールはある。
暇つぶしにつき合わせる彼にも何かしら特別なチャンスを与えたい。
そのうえで彼が成長し私が楽しめるようにプロデュースしたい。
それが最低限の規律であり秩序なのだ。
彼の唯一の趣味は競馬。私は競馬場で彼に近づくことにした。
競馬場にはパドックと呼ばれる出走前の馬たちが周回する場所がある。
新聞を片手に真剣に馬体を観察している山口がいる。
私は新聞を片手にすっと彼の横に立ち
「②番の馬は少し太いですかね?」と話しかけてみた。
自然だ・・・実に自然に話しかけられた。
久しぶりの地上での他人との会話。実に自然にできた。
私は何とも言えない充実感を感じていた。
ところが、突然話かけられた山口は少し驚いた表情で
「そうですね・・・。」
と答える。
私の方をじっと見つめた山口は少し怪訝な表情で苦笑いをしている。
ん?なんだ?こんなに自然に話しかけたのに・・・。
はじめてのコンタクトは不穏なスタートをきった。
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