田代 血塗騎士の凋落 -1
かくして、田代 血塗騎士の中学生生活は猛勉強にあてられた。
机に齧りつかんばかりの田代 血塗騎士は、相変わらず学校の中で見世物だった。
しかし。
「お前らこいつのことを笑うけどな、この前の模試誰もこいつに敵わなかったんだろ? そっちの方がずっと笑えるよな!」
陸がそう言えば、だれもが気まずそうに顔をそらす。
陸は、ずっと田代 血塗騎士のために戦ってくれた。守ってくれた。
だから、田代 血塗騎士学校生活は結局楽しかった。
のかもしれない。
母の妊娠がわかってからの田代家は、田代 血塗騎士の人生で最もあたたかくて、もっともふつうな家庭であった。
「おかえりおにいちゃん。さぁご飯にしましょう」
「おかえり血塗騎士、父さんはこのあとギルドの集会があるからぱぱっと飯食うぞ」
田代 血塗騎士が陸の家からくたくたで帰ってくると、お腹が目立ち始めた母が食事を用意して、『父と一緒に』、『食卓』で、『待って』いてくれる。
だから、田代 血塗騎士の家庭は、幸福だった。
幸福だったのだ。心の底から。
そうして季節は巡り、巡る季節の中で田代 血塗騎士は家族と親友のサポートの元じょじょに、じわじわと、しかし確実に成績を伸ばしていった。
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